最新記事

銃乱射

銃乱射を阻止するには教師も銃をもつべきだ?

2018年2月19日(月)18時36分
ハリエット・シンクレア

学校が銃で武装すれば悲劇はなくなるのか?写真は17人を射殺したとして警察に拘束されたニコラス・クルス容疑者 WSVN.com/REUTERS

<フロリダの銃乱射事件後、悪いのは銃だとする意見と心の病のせいだとする意見が対立しているが、第3のトンデモ意見が飛び出した>

米東南部フロリダ州パークランドのマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校で生徒ら17人が死亡した銃乱射事件で、問題の根幹は今議論になっている銃規制でもメンタル対策でもなく、「犯人の銃を圧倒するだけの火力が学校側になかった」ことだと、米FOXニュースの司法アナリストで元判事のアンドリュー・ナポリターノが言った。教師も銃で武装すべきというのが彼の持論だ。

ナポリターノは銃乱射事件の翌2月15日、FOXニュースのトーク番組「フォックス・アンド・フレンズ」に出演した際、学校には銃の備えがなさすぎると言った。

「イスラエル式の訓練をすればいい」と、ナポリターノは言った。「文化が異なることは分かってはいるが、イスラエルでは全ての教師がイスラエル国防軍(IDF)に従軍した経験を持つ。兵役を免除される特定の宗派を除けば、イスラエルでは国民皆兵が原則だ」

ナポリターノはこう続けた。「教師は兵役で銃の訓練を受ける。その中から厳選された教師たちは目立たないように武装し、さらなる訓練を受ける。銃を所持するだけではダメで、彼らは毎週訓練を受けることになる」

銃乱射事件が繰り返されるのは、銃が悪いのではなく犯人の心の病の問題だとしたドナルド・トランプ米大統領の主張もナポリターノは一蹴した。

娘を殺された母の叫びも空しく

「心の病のせいにするのは問題のすり替えだ」と、ナポリターノは言った。「本当の問題は、殺人犯の凶行を阻止するのに十分な銃が学校側になかったことだ。異常者は何かしら殺人の手段を見つけてしまうものだ」

ナポリターノの発言より前、事件で犠牲になった女子生徒の母親が、泣き叫びながら銃規制の強化をトランプに訴えた。

米CNNが放送した2月15日の生中継で、14歳の娘が殺害されたロリ・アルハデフはトランプに嘆願した。「この2時間で、まだ14歳だった娘の葬儀と埋葬の手配をした。トランプ大統領、お願いだから何とかして。行動して。今すぐ行動が必要だ。今、子どもたちには安全が必要だ」

だがトランプは事件についての演説で銃規制に一切触れなかった。トランプと並んで銃規制に反対するロビー団体「全米ライフル協会」(NRA)から巨額の政治献金を受け取っているフロリダ州選出のマルコ・ルビオ上院議員(共和党)も、事件は銃のせいではないと言った。

ナポリターノは銃規制の反対派に加勢して、アメリカには3億丁の銃があるのに学校が武装していなかったことの方が問題だ、と主張。銃を持たない教師と生徒が「格好の標的」になった、とした。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン氏、15日にトルコで直接協議提案 ゼレンス

ビジネス

ECBは利下げ停止すべきとシュナーベル氏、インフレ

ビジネス

FRB、関税の影響が明確になるまで利下げにコミット

ワールド

インドとパキスタン、停戦合意から一夜明け小康 トラ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノーパンツルックで美脚解放も「普段着」「手抜き」と酷評
  • 3
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦闘機を撃墜する「世界初」の映像をウクライナが公開
  • 4
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 5
    指に痛みが...皮膚を破って「異物」が出てきた様子を…
  • 6
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 7
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 8
    「股間に顔」BLACKPINKリサ、ノーパンツルックで妖艶…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 3
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 4
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 5
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 6
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 7
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 8
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 9
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 10
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中