最新記事

性犯罪

インドの女子大生がレイプ防止パンティを開発

2018年1月15日(月)17時45分
松丸さとみ

インドの女子大生がレイプ防止パンティを開発-YouTube

防刃・防弾、GPS機能付き

女性への性的暴力が社会問題となっているインドで、女子大生がレイプ防止パンティを開発した。防刃・防弾で、ビデオカメラやGPSも備えている。

パンティを開発したのは、インド北部のウッタル・プラデーシュ州に住む、理系の大学生シーヌ・クマリさん(19歳)だ。デイリーメールによると、この下着にはパスコード式の鍵がついており、刃物や銃弾にも耐えうる強さでレイプから女性を守る。さらに、攻撃された場合は下着についているボタンを押せば、あらかじめ登録されている、持ち主の親類や警察などに緊急連絡が行くようになっている。GPS機能が搭載されているため、警察は女性の場所をすぐに突き止められる仕組みだ。さらにビデオカメラが付いており、犯人の顔を録画する。

現在はまだ試作品の段階だが、地元の特許当局に申請しており、将来的にはもっと広い市場で提供したいと考えているという。

レイプ防止パンティの制作費は50ポンド(約7600円)で、生地や搭載されている機器をもっといいものにすれば市場に出せる、とクマルさんはデイリーメールに期待を語っている。また、クマルさんはこの下着について、常にはくのではなく、単独で移動しなければいけない時や、危険な場所に行く時に使用してほしい、と話している。

レイプ防止パンツにまつわる問題

ニュース・サイトのインターナショナル・ビジネス・タイムズ(IBT)英国版(2014年6月27日付)によると、インドでは2014年にも、「レイプ防止パンツ」が開発されたことがあった。この時はジーンズで、理系の学校に通う女性2人が作ったものだった。襲われた時にボタンを押せば、近くの警察署に通報される仕組みだ。金額は60ペンス(約90円)足らずで、バッテリーが切れるまで3カ月ほど使用できる。

しかし当時、英国の慈善団体「エンド・バイオレンス・アゲンスト・ウィメン」(女性への暴力撲滅)のサラ・グリーン氏はIBT英国版に対し、レイプ防止ジーンズがレイプの問題の本質に取り組むものではなく、女性が被害に遭った場合は、レイプ防止ジーンズを履いていなかったからだ、と被害者の責任が問われかねない、と指摘していた。

2013年にも米国ニューヨークを拠点にする女性2人がレイプ防止下着を開発したことがあり、「世界初のレイプ防止パンティ」と報じられた。しかし当時の英紙テレグラフ(2013年11月7日付)でも見られたように、この下着はレイプ犯ではなく女性側に責任を押し付けるものだ、との批判が上がった。これを受けて開発した2人は、「被害者が悪いという考えを推奨するものではありません」との声明を発表するに至った。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

「ザラ」親会社、11月売上高10.6%増 8─10

ビジネス

英HSBC、ネルソン暫定会長が正式に会長就任 異例

ワールド

フォトレジストに関する貿易管理変更ない=対中出荷停

ワールド

ハマスが2日に引き渡した遺体、人質のものではない=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇気」
  • 2
    大気質指数200超え!テヘランのスモッグは「殺人レベル」、最悪の環境危機の原因とは?
  • 3
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が猛追
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 6
    若者から中高年まで ── 韓国を襲う「自殺の連鎖」が止…
  • 7
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 8
    海底ケーブルを守れ──NATOが導入する新型水中ドロー…
  • 9
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 10
    22歳女教師、13歳の生徒に「わいせつコンテンツ」送…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中