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トランプ、NAFTA交渉で得意の切り札「離脱通知」を使う可能性

2018年1月11日(木)14時07分

1月10日、トランプ米大統領は、カナダ、メキシコとの北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉を有利に進める究極の交渉戦術として協定からの離脱通知に踏み切る可能性がある。写真は昨年10月、カナダ大統領との会談後にNAFTA交渉についての質問に答える同米大統領。昨年10月にワシントンで撮影(2018年 ロイター/Jonathan Ernst)

トランプ米大統領は、カナダ、メキシコとの北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉を有利に進める究極の交渉戦術として協定からの離脱通知に踏み切る可能性がある。

英国が昨年3月に欧州連合(EU)に宛てた離脱通知書簡により始まった2年間の離脱手続きは撤回が不可能と考えられているが、米国がカナダとメキシコに書面でNAFTA離脱を通知した場合でも、6カ月後に脱退が可能になるだけで法的拘束力はない。

また、米議会の承認なく離脱すれば、米国内で訴訟が提起される可能性は高い。

ロイターは10日、カナダ政府筋の話として、カナダはトランプ大統領がまもなくNAFTA離脱方針を表明するとの確信を強めている、と報道。カナダやメキシコの通貨が下落するなど影響が広がった。

米国はこれまで再交渉の場で、自動車部品の原産地規則などについて厳しい要求を突きつけてきたが、カナダとメキシコは反発しており、トランプ氏はこれに不満を募らせてきた。トランプ氏は大統領選で米国の貿易赤字を縮小する形で協定が改正されなければ離脱すると公約しており、離脱通知によって公約の実現に近づくことになる。

ピーターソン国際経済研究所のゲイリー・ハフバウアー研究員は「NAFTA離脱を大々的に発表することで、実際に離脱しなくてもトランプ氏は点数を稼げる」と指摘。

「再交渉で望ましい結果が得られなければ(離脱通知後)6カ月の期限が過ぎてからNAFTAを離脱すると表明することが可能」だとした。

NAFTAの第2205条は、「当事国は他の当事国に対して書面による離脱通知を出してから6カ月後に協定から脱退することができる。1当事国が離脱する場合、協定は残った当事国間で引き続き効力を有する」としている。

離脱通知後6カ月経てば、トランプ大統領は米国の関税を世界貿易機関(WTO)で合意した水準に戻すと宣言できる。

ただ、米経済団体は、貿易問題について議会に権限を付与する憲法の規定を根拠に、議会の承認が必要として提訴する可能性が高い。

[ワシントン 10日 ロイター]


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