最新記事

新冷戦

ロシア潜水艦の活動が冷戦以来最高に 狙いは西側の海底ケーブル

2017年12月27日(水)16時52分
ジャック・ムーア

デンマークのグレートベルト橋の下を航行するロシア原潜 Scanpix Denmark/Sarah Christine Noergaard/Reuters

<北大西洋と地中海でロシアの潜水艦の活動が冷戦以来最高のレベルになっている。狙いは欧米間の海底ケーブルだとNATOは警戒を強める>

NATOは12月24日、ロシアの潜水艦の活動が北大西洋と地中海で急増していると警告した。冷戦以降で最も活発化しているという。

NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長はドイツ紙フランクフルター・アルゲマイネの取材に対し、ロシアは2014年以降に軍艦13隻を追加配備したと語った。「ロシアは海軍力の増強に莫大な資金を投じている。特に力を入れているのが潜水艦だ」とストルテンベルグは言う。

NATO潜水艦隊司令官のアンドリュー・レノン少将も、米政治専門メディア「ザ・ヒル」に対してストルテンベルグと同じ見方を示した。「ロシアのここ3年の潜水艦活動は、冷戦時代以降で最も活発化している」

「ロシアが自国から離れた海域に毎年派遣する潜水艦の数は、過去10年間より増加した」

ロシアは長年、NATO諸国の海岸に近い北大西洋で潜水艦隊を航行させてきた。また上空でNATOの哨戒機や偵察機に急接近したり、NATO加盟国の国境のすぐそばで大規模軍事演習を強行するなど、空や陸でも緊張を高めてきた。

通信遮断も盗聴も可能

そこで最近浮上しているのは、ロシアがこうした軍事プレゼンスを利用して、欧米間のインターネットや電話を支える海底ケーブルを攻撃するのではないかという懸念だ。海底ケーブルを切断したり、盗聴して妨害工作に利用することも、ロシアには可能だ。

「海底ケーブル周辺でのロシア海軍の活動量は、かつてなく増えた」と、レノンは12月22日付けの米紙ワシントン・ポストに語った。「NATOの海底インフラに、ロシアが目を付けているのは明らかだ」

もし海底ケーブルが断たれれば、世界貿易全体の損失額は数兆ドルに上る。もし通信が傍受されれば、インターネット上のあらゆる機密情報がロシア政府に筒抜けになる。修復費用もかさむ。とくに沖合の深海での修復となれば、莫大な費用が発生する。

ロシアの深海探査用潜水艇にも、海底ケーブルに細工をする能力が十分備わっているはずだと、レノンは言う。「海洋調査だけでなく、海底での諜報活動もできる」

ワシントン・ポストによれば、NATOは冷戦後に閉鎖された北大西洋の司令部を再開し、NATO諸国が対潜水艦戦闘能力や上空からの潜水艦探知能力を増強させる計画だという。

(翻訳:河原里香)


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ウクライナ、ロシアの攻撃で5人死亡 モルドバの送電

ワールド

ロシア、カスピ海へのイラン紛争波及を警戒=大統領府

ワールド

欧米の関係断絶、ウクライナ侵攻に匹敵 元に戻らず=

ビジネス

ユーロ圏総合PMI、3月速報は成長停滞 中東紛争で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 2
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 3
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」した──イスラエル首相
  • 4
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 5
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 6
    「胸元を強調しすぎ...」 米セレブ、「目のやり場に…
  • 7
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 8
    スウェーデン次期女王ヴィクトリア皇太子、陸軍訓練…
  • 9
    「買ったら高いじゃん?」アカデミー賞会場のゴミ箱…
  • 10
    イラン戦争、トランプを泥沼に引きずり込む「5つの罠…
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 9
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 10
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中