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中国、地方都市に「特区ブーム」 中央政府が恐れる債務拡大の懸念も

2017年12月19日(火)17時16分

中国の発展計画や、住宅問題、土地利用、環境保護を担う各当局は5日、地方政府の負債や不動産開発に対する偏重によってリスクが拡大しているとして、特区についての新たなガイドラインを出している。

鄭州市を拠点とする都市計画の専門家Guo Li氏は、最大6000カ所の特区計画が進められていると推計しており、発表された投資額の平均が30億元であることを踏まえると、投資総額は18兆元規模になるとみている。

忠県の場合は、財政担当部署が設立した代理会社を通じて資金を調達したことが、同社の公式登録情報から明らかになった。

こうした会社は、地方政府の資金調達手段として知られており、地方政府による借入規制を迂回することができる。だが監視当局は、こうしたスキームがもたらす透明性の欠如に懸念を表明している。

他の特区では、いわゆる官民パートナーシップを利用し、民間企業から投資を呼び込んでいる。中国政府はこの方式を好んでいるが、監視当局は、地方自治体の中にはパートナーシップを借入れ拡大の「隠れみの」として利用しているところもある、と懸念を表明している。

地方の活性化

比較的貧しい内陸地方を活性化し、繁栄する沿岸地域との格差を縮める試みは、習近平国家主席の政権下で加速している。習主席は、減速しつつある中国経済をけん引する、公平でクリーン、かつ持続可能な原動力となる産業を見つけるよう、地方政府に圧力をかけている。

習主席は最近、中国社会が直面する「主要な矛盾」は、「バランスを欠いた不適切な開発」と、「より良い生活を求める人々の拡大し続けるニーズ」にあると発言。格差縮小に向けた試みを改めて強調した。

この発言は、取り残された地方における持続可能な発展に向けた注力を官に促す、大きな政策転換であり、特区のような取り組みを過熱させる、と中国政治の専門家は受け止めている。

中国が製造業ブームを迎えていた時代は、靴下やクリスマス用のライトなどに特化した工場の周りに自然発生的に町が生まれ、単一産業都市として発展した。

今回の特区制度は、対照的に、政府の許認可制であり、地方政府や中央の担当官庁の承認が必要になる。1つの地方自治体が開発できる特区は、通常、特定産業に特化した3平方キロの面積に限定される。

報道によると、浙江省の特区5地区が8月、売上げや投資額、イノベーションの目標額が未達だとして、地方政府の担当当局から警告を受けた。

そのうち1つは、「ペットタウン」の特区構想で、犬小屋やリード、犬用の噛むおもちゃの製造販売や、骨の形をしたビジターセンターを建設して観光客を誘致する内容だった。この特区は投資に見合う収益を上げることができず、粗雑な建物建設に資金を使い過ぎたと報じられた。ロイターは、浙江省政府に接触することはできなかった。

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