最新記事

中国経済

中国、地方都市に「特区ブーム」 中央政府が恐れる債務拡大の懸念も

2017年12月19日(火)17時16分


希望と疑惑

忠県の住民は、ゲーム関連施設が収入を押し上げ、雇用を生むことを期待していると語る。地元政府は、まだ特別地区の申請を出していないが、手続きを進めているという。

忠県文化委員会のYu Hui氏は、特区計画はまだ初期段階にあるため、具体的な投資収益率などの目標は立てていないと語る。eスポーツ産業を選んだのは、大きな将来性を見込んだからだという。

急拡大する中国のゲーム産業は「必ずやわれわれの経済によい効果をもたらしてくれる」と、Yu氏は言った。

12月にオープンする忠県のスタジアムは、将来的にはゲーム競技会による賃料収入やチケット収入をもたらすと、Yu氏は話す。忠県は、政府が後援する中規模競技会「China Mobile E-sports Games」の決勝戦を今後5年間ホストする権利を得たという。

中国では、主要なeスポーツのイベントは上海などの大都市で開かれることが多い。最寄の主要都市重慶からの主な交通手段が所要時間3時間のバス便しかない忠県がファンを呼び込むのは、より困難だろう。だがYi氏は、スタジアムがオープンすれば、訪問者のためにシャトルバスを運行すると話す。

忠県は、ゲーム特区により、最低でも36億元の新たなビジネスや投資、観光客を呼び込む効果を見込んでいる。

太湖のほとりにある江蘇州宜興市丁蜀鎮は、すでに特区として政府の認可を受け、焼き物の「茶器の街」としての歴史を活用している。また、同時に小規模な航空産業を発展させるという、両輪作戦を取っている。

産業パークを設立した同市ではすでに、太湖用の小型水上機や航空機器を製造する会社が稼働している。市当局はさらに航空関連ビジネスを招致し、空港を建設したい考えだ。

とはいえ、最も期待をかけているのは、丁蜀鎮の焼き物産業だ。

宜興市の広報担当者は、航空産業パークは、焼き物特別地区とは別の独立した計画だと述べた上で、丁蜀鎮の経済発展をこのパークがより豊かなものにするだろうと述べた。

地元住民は、特区の指定がどう焼き物産業を後押ししてくれるのか不明だと話し、競争の激化を心配する。

「いまのところ、丁蜀鎮が特区になって変わったことは何もない」と、焼き物を売っていたZhangさんは話した。

(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

Yawen Chen Christian Shepherd

[忠県/宜興、中国 8日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

中国、不動産業界締め付け策撤廃と報道 関連銘柄急伸

ワールド

インド、SNS利用に年齢制限設定を 首席経済顧問が

ビジネス

インタビュー:米は日本の財政赤字・金利上昇波及を懸

ビジネス

ソフトバンク、榛葉副社長が会長に 今井会長は特別顧
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 3
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大胆な犯行の一部始終を捉えた「衝撃映像」が話題に
  • 4
    パキスタン戦闘機「JF17」に輸出交渉が相次ぐ? 200…
  • 5
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 6
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 7
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 8
    人民解放軍を弱体化させてでも...習近平が軍幹部を立…
  • 9
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 5
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 9
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 10
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中