最新記事

動物

犬が「噛む」のはワケがある 

2017年12月6日(水)18時20分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

「犬が家庭の中で1番好きなのは人間の臭い」 GlobalP-iStock.

<噛むのを止めさせるには、犬の性質を理解して訓練するのが重要>

仕事を終えて帰宅したら無残な姿に変わり果てたスリッパと、少し離れた所からうらめしそうにこっちを見る愛犬――。

犬を飼う人にとってはあまりに馴染み深いエピソードかもしれない。

単に寂しさから来るやつあたりだと思われがちだが、実は犬の「噛む」という行為にはもっと深い意味があるそうだ。イギリス犬猫行動協会のコリン・テナント会長が科学ニュースサイトの「ライブ・サイエンス」に明かした。

なぜ「噛む」のか理解することから

極端な例かもしれないが、1日の仕事でくたくたになった状態で自分のお気に入りのスリッパや毛布などがボロボロになっているのを発見したら、犬を叱りたくなるのが率直な気持ちだろう。しかしここで心に留めておきたいのは「犬が噛むのは人間が部屋のドアを開けて中の様子を伺うようなもの」ということ。「犬には(人間の手のような動きをする)手がないので、その分を口の機能で補う」と30年間犬の行動について研究してきたテナントは説明する。

もちろんこういったケースで「噛む」ことを加速させている要因のひとつには、飼い主と離れる「分離不安」と呼ばれるストレスがある。飼い主に長時間放置されたり、近くにいる時間が少ないと問題行動を起こし、ひどい場合には「分離不安症」と診断されることもある。

テナントは、「犬はもともと群れで行動する動物で、1匹にされたくないものだ」と言う。特に「1匹でいることに慣れていない犬は、カーペットをはぎとって噛んだり、激しい行動に出ることがある」

また犬が噛むのは「味や臭いが強いもの」という傾向がある。テナントによると、家庭の中で犬が最も魅力的に感じるのは人間の臭い。わかりやすいのは脱ぎたての靴だ。さらに革靴は犬にとって惹かれるものがあるという。「野生の犬は動物を食べる捕食者」という本能が刺激されるからだ。

このほか、木も標的になりやすい。これはカーペットやスリッパよりも問題になることはない。しかし、犬は外に生えている木と室内の観葉植物や木製家具のように、噛んでいい木とそうじゃない木の判別はできない。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

10月企業向けサービス価格、前年比2.7%上昇 前

ワールド

トランプ政権、石炭火力大気汚染物質の規制厳格化を撤

ワールド

ウクライナ大規模汚職事件さらに拡大へ、捜査トップが

ワールド

ブラジル前大統領、27年の刑期開始 最高裁命令
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    放置されていた、恐竜の「ゲロ」の化石...そこに眠っ…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    使っていたら変更を! 「使用頻度の高いパスワード」…
  • 10
    トランプの脅威から祖国を守るため、「環境派」の顔…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 10
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 8
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中