最新記事

日本企業

神戸製鋼所 、国内企業の安全性確認でも霧晴れず

2017年10月26日(木)13時05分

中でも読めないのは海外の動向だ。「契約違反に対して、海外メーカーの方が厳しい対応をする可能性がある」(業界関係者)という。

米司法省が神戸鋼の米子会社に資料を提出するよう要求したほか、欧州航空安全機関(EASA)は航空機メーカーに対し、合法性が証明されるまで、調達を控えるように勧告した。

司法省の書類提出要求について、のぞみ総合法律事務所の結城大輔弁護士は「詳細が分かっているわけではないが、連邦法の詐欺罪の可能性を見据えて、捜査が始まったと考えるのが一番オーソドックス。司法省が動かなければ民事上で終わったかもしれないが、司法省が動いたことで、刑事事件として展開する可能性があり、深刻だ」と述べている。

JIS認証取り消しの場合、事業に影響も

もう1つの懸念は、日本工業規格(JIS)やISOの認証取り消しになる可能性。世耕弘成経済産業相は、認証機関に対し、現在再検査に入っているコベルコマテリアル鋼管の秦野工場だけでなく、他の工場への再審査の検討を指示した。JISの認証を受けている工場は、秦野工場を含めて国内外で20カ所。再審査の結果次第で、状況改善の勧告、認定の一時停止、または取り消しの可能性がある。

秦野工場以外に認証機関が再審査に入った工場があるかどうかは分かっていない。神戸鋼の広報担当者は、JISとISO9001の審査は継続中だとしている。

秦野工場の年間生産量は5万6000トン。そのうち、43%がJISマークを表示していたという。

ある製造業企業の幹部は「自社に置き換えると、JIS認証の取り消しは事業にインパクトがある」と話す。JIS基準があることで、個別に仕様書(スペック)を詰めなくても良いという利点がある、という。

また、公共工事など内外の入札案件では、JISやISOを入札の条件にする場合もあり、そうした事業に影響が出る可能性もある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:司法の掌握目論むトランプ氏、側近が描く人事と

ビジネス

アングル:企業投資はドイツからフランスへ、マクロン

ワールド

原油先物、週間で2%超安 堅調な米経済指標受け

ワールド

米大統領選でトランプ氏支持、ブラックストーンCEO
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目の前だ

  • 2

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」...ウクライナのドローンが突っ込む瞬間とみられる劇的映像

  • 3

    批判浴びる「女子バスケ界の新星」を激励...ケイトリン・クラークを自身と重ねるレブロン「自分もその道を歩いた」

  • 4

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 5

    この夏流行?新型コロナウイルスの変異ウイルス「FLi…

  • 6

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された─…

  • 7

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 8

    テストステロン値が低いと早死にするリスクが高まる─…

  • 9

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 10

    日本を苦しめる「デジタル赤字」...問題解決のために…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 4

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 5

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 6

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 7

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 8

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 9

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 10

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中