最新記事
中国共産党

「習近平新時代中国特色社会主義思想」が党規約に!

2017年10月24日(火)16時30分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

第19回中国共産党大会が閉幕(前列左から胡錦濤前総書記、習近平総書記、江沢民元総書記)Thomas Peter-REUTERS

10月24日午前、第19回党大会において、習近平思想を「習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想」という表現で党規約に明記することが決議された。

「習近平思想」党規約明記を決議


中国共産党新聞
や中国政府の通信社「新華社」および中国共産党管轄下の中央テレビ局CCTVなどが、一斉に報道した。 

筆者はこの文言に関して10月22日付のコラム<習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想とは?>において、習近平思想を党規約に記入するときには、必ず「習近平新時代中国特色社会主義思想(習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想)」という表現になるだろうと予測したが、その通りの表現になり、ホッとしている。

やはりこれまでと違い、政権一期目に政権スローガンを記入したことと、政権スローガンに個人名を記したことが、何よりも注目される。

これは何を意味しているか?

党規約の冒頭には、「マルクス・レーニン主義思想、毛沢東思想、鄧小平理論、三つの代表(重要思想)、科学的発展観」があるが、「個人名+思想」という形の政権スローガンは「毛沢東思想」だけしかない。中国では「理論」よりも「思想」が上にランクされているので、これにより習近平は毛沢東と並んだことになる。

マルクス・レーニン主義は共産主義そのものなので、それを除いて「中国共産党」に関してのみ言えば、中国には「毛沢東思想」と「習近平思想」があるのみだということになる。

これにより「習近平」の名は、中国共産党史に永遠に刻まれることになるだろう。

三期続投も?

今朝ほど公開したコラム「情報が漏れた新チャイナ・セブンのリスト予測」にも書いたが、もしそのコラムに書いた通り、次期指導者候補である「胡春華」と「陳敏爾」の名前が本当に新チャイナ・セブンのリストにないとすれば、これは習近平が三期続投を目論んだ結果ということもできる。だとすれば、この習近平思想の党規約明記とともに、巨大な権力を持った政権が生まれたと考えていいだろう。

その目的は何か?

それでもなお、筆者は、これが権力闘争ごときものの産物だとは思っていない。

あくまでも中国共産党の一党支配によって底なしの腐敗が蔓延し、紅い中国が腐敗によって崩壊するのを防ぐことが目的だとみなしている。自分がラスト・エンペラーにならないために、世界に向かって打って出るというのが習近平の大戦略である。

やがてアメリカに追いつき、アメリカを追い越す。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米特使、ウ・欧州高官と会談 紛争終結へ次のステップ

ビジネス

米新規失業保険申請件数、1.6万件減の19.9万件

ワールド

中国、来年は積極的なマクロ政策推進 習氏表明 25

ワールド

ロ、大統領公邸「攻撃」の映像公開 ウクライナのねつ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 5
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 8
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中