最新記事

アメリカ政治

米民主党が勢い回復か、州議会選で巻き返し 11月ワシントンに注力

2017年10月14日(土)13時19分

だがワシントン州の外では、2018年の中間選挙を控え、民主党が若干の勝利を収めたところで政治勢力図が大きく変化する訳ではない。

共和党は、26の州政府と、3分の2の州議会で議決権を握っている。民主党は、オバマ前政権の8年間に国政選挙に関心を注ぎ、州議会レベルでは力を失った。

民主党は今では、党再建には州が不可欠だと認識している。また、民主党が主導した医療保険制度改革や環境保護政策を骨抜きにし、移民の取り締まりを強化しようというトランプ氏の政策を押し戻す議案を前進させる機会でもあると考えている。

有権者に届け

民主党は、大量のボランティアを動員して有権者3000万人にコンタクトしようと計画している。2016年の州議会議員選挙で接触した数の倍の数字だ。

「ワシントンの政治が行き詰っているため、トランプ大統領からの防護壁として州議会に注目する人が増えている」と、民主党議会選委員会のジェシカ・ポスト氏は話す。

だが、多くの経験値の低い民主党候補者は、来年の選挙で投票率を高め、歴戦の現職議員を破らなければならない。

「もし民主党の勢いが最大になり、投票日が荒れれば、われわれの圧倒的多数は崩れて、単なる多数になるかも知れない。だがそれでも、われわれは多数派だ」と、共和党関連組織GOPACのデービッド・アベラ氏は言う。

民主党は2017年、フロリダ、オクラホマ、ニューハンプシャー、ニューヨークの各州議会補欠選挙で、共和党が保持していた議席を奪った。一方の共和党は、ルイジアナ州議会補選で候補者が無投票で当選を果たした。

2016年の選挙でトランプ氏が65%の得票率で勝利したオクラホマ州では、同氏が取った選挙区3つで、民主党候補者が議席を奪った。各候補者は選挙戦で、学校が週4日制に追い込まれるほどの財政危機など、ローカルな問題を積極的に取り上げた。

勝利した民主党候補者は、「ナンシー・ペロシ(民主党下院院内総務)やヒラリー・クリントンやバラク・オバマにくっついていない、リアルな市民であることを訴えることができた」と、オクラホマ州民主党議長のアンナ・ラングソーン氏は言う。

補選での勝利は、新興の革新グループが有権者に投票を呼び掛けたことを反映した面もある。だがそれを2018年の選挙に向けてどう拡大するかは、今後の課題だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

パキスタンとアフガン、即時停戦に合意

ワールド

台湾国民党、新主席に鄭麗文氏 防衛費増額に反対

ビジネス

テスラ・ネットフリックス決算やCPIに注目=今週の

ワールド

米財務長官、中国副首相とマレーシアで会談へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「実は避けるべき」一品とは?
  • 4
    ニッポン停滞の証か...トヨタの賭ける「未来」が関心…
  • 5
    ギザギザした「不思議な形の耳」をした男性...「みん…
  • 6
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 7
    自重筋トレの王者「マッスルアップ」とは?...瞬発力…
  • 8
    「中国は危険」から「中国かっこいい」へ──ベトナム…
  • 9
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 5
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 6
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 7
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 8
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 9
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇…
  • 10
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中