最新記事

軍事

北朝鮮の旧式な対空装備、米軍B1爆撃機の撃墜は困難か

2017年9月28日(木)18時11分

韓国国防省の2016年白書によると、北朝鮮の保有戦闘機は約810機だが、ほとんどは旧ソ連もしくは中国製の相当な時代遅れの代物で、事故に悩まされている。2014年には2カ月間で訓練中に3機が相次いで墜落した。

ジョージタウン大学ウォルシュ外交大学院のデービッド・マクスウェル氏は「北朝鮮機が米軍の護衛戦闘機部隊への攻撃に成功するかどうかは非常に疑わしい」と語った。

韓国のある国会議員によると、23日のB1爆撃機の飛行についても北朝鮮は具体的な反応を示さず、知らなかったように思われる。この議員は同国情報機関から説明を受け、北朝鮮の動きがなかったことを踏まえて米国側がB1の航路を明らかにしたようだと述べた。

全面衝突リスク

北朝鮮が米軍機を撃墜できる可能性が最も高いのは、「KN─06」と呼ばれる地対空ミサイルシステムだろう。何度かの試験で欠陥を改善したこのミサイルについて、金正恩朝鮮労働党委員長は5月、「完璧だ」と評価した。

元米空軍将校のジョージ・ハッチソン氏の分析では、KN─06はロシアの「S─300」をベースに開発されたとみられ、射程はおよそ150キロメートルで、移動走行が可能なので運用の効率性や生残性が高まるという。

もっとも複数のアナリストによると、ごく最近実戦配備されたばかりである点からすれば、信頼性は定かではない。

ランド研究所のベネット氏は、より射程が長い「SA─5」というミサイルも存在するものの、これは旧式技術に依拠しており、米軍機の性能に及ばないと説明した。

何人かのアナリストは、北朝鮮が領空外の米爆撃機撃墜を宣言したのは、B1が発進するグアムを攻撃するという意味かもしれないとの見方を示した。韓国のシンクタンクのミサイル専門家Kim Dong-yub氏は「北朝鮮は領空に侵入する米軍機への攻撃を試みるだろうが、対空ミサイルの能力には限界がある。この宣言は北朝鮮が以前に警告していたグアム近海への中距離ミサイル発射と密接な関連があるのではないかと感じている」と話した。

一方IISSのエルマン氏は、北朝鮮の防空行動をきっかけに意図しない形で米朝の全面的な軍事衝突が生じる展開を懸念している。

(Christine Kim、David Brunnstrom記者)

[ソウル/ワシントン 26日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニュース速報

ワールド

米下院委、トランプ大統領弾劾訴追案を可決 本会議で

ビジネス

米小売売上高、11月は0.2%増 予想下回る

ワールド

米中が「第一段階」通商合意、トランプ氏「15日の関

ビジネス

訂正:〔情報BOX〕ニューフレアTOBに東芝とHO

MAGAZINE

特集:進撃のYahoo!

2019-12・17号(12/10発売)

メディアから記事を集めて配信する「巨人」プラットフォーマーとニュースの未来

人気ランキング

  • 1

    共産党国家に捧げるジョーク:変装した習近平に1人の老人が言ったこと...

  • 2

    中国で焚書令、文化大革命の再来か

  • 3

    麻酔を忘れて手術された女性、激痛に叫ぶも医者が気づかない!?

  • 4

    習近平を国賓として招聘すべきではない――尖閣諸島問題

  • 5

    キャッシュレス化が進んだ韓国、その狙いは何だった…

  • 6

    熱帯魚ベタの「虐待映像」を公開、動物愛護団体がボ…

  • 7

    自殺した人の脳に共通する特徴とは

  • 8

    インフルエンザ予防の王道、マスクに実は効果なし?

  • 9

    乗客が餓死する高原列車で行く、金正恩印「ブラック…

  • 10

    ウイグル人と民族的に近いトルコはなぜ中国のウイグ…

  • 1

    食肉市場に出回るペット 出荷前には無理やり泥水を流し込み...

  • 2

    殺害した女性の「脳みそどんぶり」を食べた男を逮捕

  • 3

    熱帯魚ベタの「虐待映像」を公開、動物愛護団体がボイコット呼び掛ける

  • 4

    インフルエンザ予防の王道、マスクに実は効果なし?

  • 5

    中国で焚書令、文化大革命の再来か

  • 6

    ウイグル人権法案可決に激怒、「アメリカも先住民を…

  • 7

    次期首相候補、石破支持が安倍首相を抜いて躍進 日…

  • 8

    東京五輪、マラソンスイミングも会場変更して! お…

  • 9

    トランプ、WTOの紛争処理機能を止める 委員たったの…

  • 10

    共産党国家に捧げるジョーク:変装した習近平に1人の…

  • 1

    食肉市場に出回るペット 出荷前には無理やり泥水を流し込み...

  • 2

    「愚かな決定」「偏狭なミス」米専門家らが韓国批判の大合唱

  • 3

    「日本の空軍力に追いつけない」アメリカとの亀裂で韓国から悲鳴が

  • 4

    元「KARA」のク・ハラ死去でリベンジポルノ疑惑の元…

  • 5

    「韓国は腹立ちまぎれに自害した」アメリカから見たG…

  • 6

    文在寅の経済政策失敗で格差拡大 韓国「泥スプーン」…

  • 7

    GSOMIA失効と韓国の「右往左往」

  • 8

    殺害した女性の「脳みそどんぶり」を食べた男を逮捕

  • 9

    GSOMIA継続しても日韓早くも軋轢 韓国「日本謝罪」発…

  • 10

    日米から孤立する文在寅に中国が突き付ける「脅迫状」

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 資産運用特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
「STAR WARS」ポスタープレゼント
ニューズウィーク試写会ご招待
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2019年12月
  • 2019年11月
  • 2019年10月
  • 2019年9月
  • 2019年8月
  • 2019年7月