最新記事

経済制裁

北朝鮮に安保理の制裁決議の影響 燃料価格が高騰

2017年9月19日(火)14時49分

9月13日、北朝鮮経済は、中国による燃料輸出削減など、貿易面での締め付けによる打撃を受けつつある兆候を見せている。写真は9日、中朝国境の鴨緑江で船に乗る北朝鮮の人々。中国丹東から撮影(2017年 ロイター/Jacky Chen)

国連は北朝鮮の兵器開発を遅らせることに失敗したかもしれない。だが、北朝鮮の経済は、中国による燃料輸出削減など、貿易面での締め付けによる打撃を受けつつある兆候を見せている。

国連安全保障理事会が11日に採択した追加制裁は、北朝鮮の数少ない外貨獲得手段の1つである繊維輸出を禁止した。また、米国が望んだ完全禁輸ではないものの、石油と石油製品の輸入量に制限を設けた。

燃料供給量が減少し、価格が上昇するにつれ、北朝鮮国内で制裁の影響が出始めている、と同国との国境地帯を拠点とする中国貿易商や、北朝鮮を定期的に訪問する関係者は語る。以前の国連制裁で、海産物や石炭などの輸出が禁じられたことも影響しているという。

「北朝鮮のわれわれの工場は、倒産寸前だ」と北朝鮮の工場で中古車を整備して販売する丹東の韓国系中国人ビジネスマンは語る。「代金が支払われないのに、商品を(北朝鮮の顧客に)タダで渡すわけにはいかない」

丹東を拠点とする別の自動車関係の貿易商は、中朝の国境貿易はこの数年打撃を受けているとし、制裁と石油へのアクセス減が原因だと述べた。制裁により、北朝鮮企業の貿易に必要なハードカレンシーを稼ぐ力が弱まっていると話す中国人貿易商もいた。

「先月の売り上げは非常に悪かった。数台しか売れなかった」。新車のトラックやバン、ミニバスを北朝鮮で販売する中国人貿易商はそう語る。「昨年8月は数十台売れたが、それでも悪いと思っていた」

制裁に加え、中国当局が国境における密輸取り締まりを強化したと指摘する貿易商もいた。密輸は、北朝鮮北部では主要な燃料源となっている。

また、中国の東北部にある銀行の支店が北朝鮮人との取引を縮小していると、銀行筋が明らかにしている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米CPI、6月は前年比+2.7%・前月比+0.3%

ビジネス

FRB後任議長選び、「正式プロセス」既に開始と米財

ワールド

イスラエル、シリア南部で政府軍攻撃 ドルーズ派保護

ビジネス

独ZEW景気期待指数、7月は52.7へ上昇 予想上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機」に襲撃されたキーウ、大爆発の瞬間を捉えた「衝撃映像」
  • 2
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中にまさかの居眠り...その姿がばっちり撮られた大物セレブとは?
  • 3
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 4
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 5
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 6
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 7
    「このお菓子、子どもに本当に大丈夫?」──食品添加…
  • 8
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 9
    【クイズ】次のうち、生物学的に「本当に存在する」…
  • 10
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 9
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 10
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中