最新記事

中国経済

中国当局、新規の仮想通貨の公開禁止令 新興企業は対応に大わらわ

2017年9月13日(水)15時04分

9月13日、中国当局がデジタル通貨による資金調達「ICO」の禁止令を出したことで、ICOを計画していた新興企業は投資家への対応や計画の練り直しに大わらわだ。写真は仮想通貨ビットコイン。パリで2015年5月撮影(2017年 ロイター/Benoit Tessier)

中国当局が先週、デジタル通貨による資金調達「イニシャル・コイン・オファリング(新規仮想通貨公開=ICO)」の禁止令を出したことで、ICOを計画していた新興企業は投資家への対応や計画の練り直しに大わらわだ。

国営メディアによると、中国の投資家が1─6月にICOに注ぎ込んだ資金は26億元(3億9400万ドル)。5つ星ホテルで催されるICO説明会には、年配女性を含むさまざまな人々が詰めかける状態となり、当局も看過できなくなった。

いくつかの新興企業は、先週の措置は投資家を狼狽させ、混乱を招いたと言う。

ブロックチェーン(分散型台帳)の新興企業、シングペイを率いるMi Huijin氏の場合、ちょうどICOを完了して電車から降りた時に携帯電話を見ると、禁止令についてのメッセージが溢れていた。

急いで人気の動画配信チャンネルを介し、「パニックに陥らないでください。うしろめたいことをしていないのなら、恐れることはありません」と呼びかけたが、動画に寄せられたコメントには「お金は返してもらえるのか」といったものや、シングペイを警察に通報する動きを知らせる内容があった。

個人投資家向け仮想通貨プラットフォームの開設を計画していた新興企業セルフセルのLi Yuan最高経営責任者(CEO)は、先週予定していたICOを中止し、コインをすべて返金した。

ICOを実施済みの新興企業の場合、状況はもっと複雑だ。昨年のICOで3000万元(465万ドル)を調達したネオ社の創業者Da Hongfei氏は、投資家にビットコインとの交換でネオコインを返済する申し出を来月まで延期したと語る。

Da氏は、政府の発表では資金をすべて投資家に返済する義務があるようだとした上で、ビットコインの現在のレートで返済すると投資家が損失を被るため、強要はできないと言う。

とはいえ、ロイターが取材したICO主催者ほぼ全員が、市場は制御不能に陥っており、変化を必要としていたと認める。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

「ディール」迫るトランプ氏、ゼレンスキー氏は領土割

ビジネス

アングル:屋台販売で稼ぐ中国の高級ホテル、デフレ下

ワールド

メラニア夫人、プーチン氏に書簡 子ども連れ去りに言

ワールド

米ロ首脳、ウクライナ安全保証を協議と伊首相 NAT
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に入る国はどこ?
  • 4
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 5
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 6
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 7
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 8
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 9
    「デカすぎる」「手のひらの半分以上...」新居で妊婦…
  • 10
    【クイズ】次のうち、「軍事力ランキング」で世界ト…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 5
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 6
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 7
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 8
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入…
  • 9
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 10
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中