最新記事

人道問題

コンゴ・カビラ大統領とルワンダの利権 ----コンゴ中央部、国連とムクウェゲ医師の「忘れられた危機」

2017年9月11日(月)18時00分
米川正子(立教大学特定課題研究員、コンゴの性暴力と紛争を考える会)

また今年7月、このカビラ大統領一家によるビジネスに関する報告書が発表され、政府と国連との契約でカビラ・ビジネスの一部が儲かっているとのことだ。

その他に、長年、コンゴに投資してきたイスラエル人の商業家、ダン・ガートラー(Dan Gertler)はJ・カビラの親友である。
https://www.bloomberg.com/news/articles/2017-09-07/trump-s-surprise-deal-with-democrats-sets-up-christmas-showdown

モブツの個人資産は32年間で50億ドルに達したと言われるが、Forbesによると、カビラはその半分の16年間で50億~150億ドルの資産を蓄積したと推定されている。
http://www.lecongolais.cd/la-fortune-de-joseph-kabila-estimee-a-15-milliards-us/

だからこそ、J・カビラは任期が切れても大統領職にしがみついているのだ。そして情けないことに、「国際社会」がJ・カビラに対して強く非難できないのは、コンゴが資源大国であり、各国が経済的にコンゴに依存しているからだろう。

国連PKOの「暴力」への間接的な関与、国連専門家グループの殺害

話をカタ・カタンガに戻すと、その輸送に在コンゴのPKO、国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)が協力していると噂されている。PKOはトラックやヘリコプターなど輸送手段が豊富にあり、MONUCSOの任務に含まれているコンゴ軍への支援のために、コンゴ軍を輸送することはしばしばある。カサイ州への輸送に関して、MONUSCOはカタ・カタンガであることを知った上で、あるいはコンゴ軍と間違えて、輸送したのか定かではない。たとえ前者であったとしても、特に驚きではない。なぜなら、これまでMONUSCOは反政府勢力に国連の食糧配給を金(ゴールド)と引き換えに横流ししたことなどが報道されているからである。

その国連に打撃を与える事件が今年3月に発生した。カサイ州での「暴力」の問題を調査していた国連専門家ザイダ・カタラン氏(Zaida Catalan)とマイケル・シャープ氏(Michael Sharp)が、コンゴ人通訳ベツ・ツシンテラ氏(Betu Tshintela)とバイク運転手3名と共に殺害されたのだ。特にカタラン氏はコンゴ政府にとって不都合な情報を収集したらしく、その復讐として斬首され、未だに遺体の頭部が見つかっていない。

【参考記事】コンゴで警察官42人殺害、国連専門家も遺体で発見

国連専門家グループはこれまで、コンゴ以外にもアフガニスタンやイランなどにも派遣されているが、専門家の殺害は今回が初めてであり、国連にとって危機的な問題である。それにもかかわらず、奇妙なことに国連の対応が非常に鈍い。コンゴ政府が彼らを殺害した可能性が高いからなのか。本事件から4カ月後の7月、ようやく国連人権理事会で独立調査委員会の設立が決まった。しかし、本委員会のマンデート(負託)は、被害者が殺害された状況を調査するだけで、加害者の身元確認は含まれていない。

そのMONUSCOが民兵を輸送した可能性や専門家グループの殺害の背景について、米政府がどこまで把握していたかは不明である。しかし、2017年3月下旬、MONUSCOの任務の延長に関する議論の場で、ヘイリー米国連大使は厳しいコメントを発表した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:インド「高級水」市場が急成長、富裕層にブ

ワールド

トランプ米大統領、自身のSNSに投稿された人種差別

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、リスク資産反発受け 円は衆

ワールド

トランプ氏、インドへの25%追加関税撤廃 ロ産石油
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近したイラン製ドローンを撃墜
  • 2
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入った「最強ライバル」の名前
  • 3
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 4
    韓国ダークツーリズムが変わる 日本統治時代から「南…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    地球の近くで「第2の地球」が発見されたかも! その…
  • 7
    鉱物資源の安定供給を守るために必要なことは「中国…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    「右足全体が食われた」...突如ビーチに現れたサメが…
  • 10
    「エプスタインは悪そのもの」「悪夢を見たほど」──…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 3
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 4
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 7
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 8
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 9
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流してい…
  • 10
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中