最新記事

自動車

フランクフルトショーで見えた自動車業界EV移行を阻む課題

2017年9月13日(水)08時47分

9月12日、フランクフルト国際自動車ショーに集まった欧州自動車メーカーの経営者たちは、ガソリン車から電気自動車への世界的な移行という現実、そしてそれが雇用や収益に及ぼす影響に目を向け始めようとしている。写真は11日、フランクフルト国際自動車ショーでのメルセデスベンツのプレゼンテーション(2017年 ロロイター/Ralph Orlowski)

フランクフルト国際自動車ショーに集まった欧州自動車メーカーの経営者たちは、ガソリン車から電気自動車への世界的な移行という現実、そしてそれが雇用や収益に及ぼす影響に目を向け始めようとしている。

一部の国の政府がガソリン車禁止を宣言するなか、中国も化石燃料車の禁止時期を検討していることが判明した。こうした流れを受けて、ダイムラー、フォルクスワーゲン(VW)、PSAグループは相次いで、電気自動車を巡る開発計画を発表したが、その内容は政策当局者を躊躇(ちゅうちょ)させるものとなった。

例えばダイムラーは、計画している電気自動車版のメルセデスは当初、利益率が従来車と比べて半分にしかならない可能性があると警告。一部の製造工程の外部委託を通じたコスト削減を迫られるとの見通しを示したが、そうなればドイツの雇用が脅かされることになる。

またVWは、500億ユーロ(約600億ドル)相当のバッテリーなど電気自動車部品を調達するために、新たなグローバルサプライヤーとの契約を模索していることを明らかにした。電気自動車の部品の一部はまだ、欧州で製造することが競争上、理にかなわないためという。

消費者が取り残される懸念も

米電気自動車大手テスラ株は11日、6%近く上昇した。国営新華社通信によると、中国工業情報省の辛国斌次官は、化石燃料車の生産・販売の禁止時期に関する検討に着手したことを明らかにした。フランスと英国も2040年までのガソリン車廃止を打ち出している。

しかしPSAは、電気自動車が思うように売れず、消費者が取り残されるリスクを指摘する。タバレス最高経営責任者(CEO)は独紙のインタビューで「(電気自動車が)市場で受け入れられなければ、業界、従業員、政治家など全員が大問題を抱えることになる」と語った。

実際、電気自動車はまだ、補助金が手厚いノルウェーを除いて市場に浸透してはおらず、世界の販売台数に占める比率は1%に満たない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ミネソタ州に兵士1500人派遣も、国防総省が準備命

ワールド

EUとメルコスルがFTAに署名、25年間にわたる交

ワールド

トランプ氏、各国に10億ドル拠出要求 新国際機関構

ワールド

米政権、ベネズエラ内相と接触 マドゥロ氏拘束前から
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向」語る中、途方に暮れる個人旅行者たち
  • 2
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 3
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 4
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 5
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で…
  • 6
    DNAが「全て」ではなかった...親の「後天的な特徴」…
  • 7
    シャーロット英王女、「カリスマ的な貫禄」を見せつ…
  • 8
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 9
    鉛筆やフォークを持てない、1人でトイレにも行けない…
  • 10
    AIがついに人類に「牙をむいた」...中国系組織の「サ…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 4
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 5
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 6
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 7
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 8
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 9
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 10
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中