zzzzz

最新記事

経済制裁

北朝鮮の下請け工場が支える「メイド・イン・チャイナ」

2017年8月22日(火)13時08分

8月13日、中国の衣料品メーカーは、より安い労働力が享受できる北朝鮮での製造を増やしており、「メイド・イン・チャイナ」のタグが付けられた北朝鮮製の商品が、世界中に輸出されている。写真は6月、パソコンの冷却ファンに書かれた「メイド・イン・チャイナ」のタグ(2017年 ロイター/Thomas White)

中国の衣料品メーカーは、より安い労働力が享受できる北朝鮮での製造を増やしており、「メイド・イン・チャイナ」のタグが付けられた北朝鮮製商品が、世界中に輸出されている。

世界で販売する安価な衣料品を製造するため、国際的孤立を深める隣国を利用する中国企業の実態が、国境沿いにある中国遼寧省丹東の貿易業者らに対するロイターの取材によって明らかになった。

これは、北朝鮮のミサイル・核プログラムに対する国連制裁強化が同国へのドアを次々と閉ざしている一方で、開かれた扉もあることを示している。国連制裁には、繊維輸出の禁止は含まれていない。

「世界中から注文がきている」。中朝貿易のほとんどの物資が経由する丹東で、韓国系中国人ビジネスマンはそう語った。他の多くの人々と同じく、神経質な話題であることから、匿名を条件に取材に応じた。

丹東には数十の代理業者が存在し、中国の衣料品サプライヤーと米国、欧州、日本、韓国、カナダ、ロシアのバイヤーのあいだを仲介しているという。「中国のサプライヤーに、顧客に正直に話す気があるかを問い合わせている。衣料品を購入した消費者が、北朝鮮で作られたものだと気づかないこともある。とても慎重を要する」

昨年の北朝鮮輸出において、繊維製品は石炭や他の鉱物に次いで2番目に大きく、計7億5200万ドル(約834億円)に上った、と大韓貿易投資振興公社(KOTRA)のデータは示している。輸出全体の総額は、前年比4.6%増の28億2000万ドルだった。

今月採択された新たな国連制裁決議では、石炭の輸出を全面的に禁止している。

北朝鮮の盛んな繊維産業は、困窮する同国が2006年に初めて核実験を実施して以来、国連から科されてきた一連の制裁措置に対し、市場改革の進展も限られるなか、いかに適応してきたかを物語っている。

同時に、トランプ米大統領が中国に対し、北朝鮮の兵器プログラム抑制に向けた努力を要請しているにもかかわらず、いまだ北朝鮮が経済的ライフラインとして中国に依存している実態も示している。
中国の対朝輸出は、国連の禁輸リストに含まれていない織物材料や他の労働集約財などがけん引し、今年上半期でほぼ3割膨らみ16億7000万ドルに達した、と中国関税当局の報道官が語った。

中国のサプライヤーは、衣料品が集められ輸出される丹東を経由して、北朝鮮の製造工場に布地や他の原材料を送っている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾との平和的統一の見通し悪化、独立「断固阻止」と

ワールド

北朝鮮、韓国に向け新たに600個のごみ風船=韓国

ワールド

OPECプラス、2日会合はリヤドで一部対面開催か=

ワールド

アングル:デモやめ政界へ、欧州議会目指すグレタ世代
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
2024年6月 4日号(5/28発売)

強硬派・ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 2

    キャサリン妃「お気に入りブランド」廃業の衝撃...「肖像画ドレス」で歴史に名を刻んだ、プリンセス御用達

  • 3

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...すごすぎる日焼けあとが「痛そう」「ひどい」と話題に

  • 4

    「自閉症をポジティブに語ろう」の風潮はつらい...母…

  • 5

    ウクライナ「水上ドローン」が、ロシア黒海艦隊の「…

  • 6

    1日のうち「立つ」と「座る」どっちが多いと健康的?…

  • 7

    ヘンリー王子とメーガン妃の「ナイジェリア旅行」...…

  • 8

    「みっともない!」 中東を訪問したプーチンとドイツ…

  • 9

    「娘を見て!」「ひどい母親」 ケリー・ピケ、自分の…

  • 10

    中国海外留学生「借金踏み倒し=愛国活動」のありえ…

  • 1

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 2

    キャサリン妃「お気に入りブランド」廃業の衝撃...「肖像画ドレス」で歴史に名を刻んだ、プリンセス御用達

  • 3

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲームチェンジャーに?

  • 4

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像を…

  • 5

    ハイマースに次ぐウクライナ軍の強い味方、長射程で…

  • 6

    仕事量も給料も減らさない「週4勤務」移行、アメリカ…

  • 7

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 8

    都知事選の候補者は東京の2つの課題から逃げるな

  • 9

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 10

    少子化が深刻化しているのは、もしかしてこれも理由?

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中