最新記事

朝鮮半島

北朝鮮の核危機、「仲介役」としてスウェーデンが浮上

2017年8月16日(水)17時19分

8月11日、米朝間で核戦争の危機が高まるなか、スウェーデンが、北朝鮮との特別な関係を利用して、「仲介役」として働くことは果たして可能なのだろうか。写真は、北朝鮮の故金日成主席と金正日総書記の肖像画。平壌で4月撮影(2016年 ロイター/Damir Sagolj)

スウェーデンが1970年代に輸出した大量のボルボ車は、いまも北朝鮮の街道を走っているが、いまだ支払いが行われていないという。

このディールは商業的成功をもたらさなかったものの、スウェーデンが、国際的孤立を強める北朝鮮との間に古いつながりを築いていることを、改めて思い起こさせる。米朝間で核戦争の危機が高まるなか、スウェーデンが、この特別な関係を利用して「仲介役」として働くことは果たして可能なのだろうか──。

米国は北朝鮮と正式な外交関係を樹立しておらず、北朝鮮のミサイル・核兵器プログラムを巡る緊張を緩和するうえで、両国の選択肢は限られている。

一方のスウェーデンは、秘密主義の北朝鮮政府に対して、重要な外交的役割を担っている。西側諸国の市民がトラブルに巻き込まれた場合には特に、西側を代表して行動することが多い。

現在の危機に対応して、スウェーデンが米朝間の仲介役として動くことは不可能ではない、とスウェーデン国際問題研究所のアソシエートフェローであるウルブ・ハンセン氏は指摘する。

「スウェーデンはこれまで数え切れないほど、そうした役割をこなしてきた。とりわけ、監禁された米国人に関して」と同氏は語る。「戦争勃発寸前にある米朝の仲介役を担うことは、間違いなく非常に困難な仕事だが、スウェーデンには、米国だけでなく、北朝鮮からの信頼も得ているという強みがある」

スウェーデン外務省はコメントを控えた。

歴史的つながり

今月北朝鮮から解放されたカナダ人牧師ヒョンス・リム氏、そして6月に解放された米国人学生オットー・ワームビア氏に対してスウェーデンが果たした役割の背景には、朝鮮戦争末期までさかのぼる四半世紀近い歴史的つながりがある。これは他の西側諸国にはないものだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ルネサス、タイミング部門の売却検討 評価額20億ド

ビジネス

国立競技場の呼称「MUFGスタジアム」に 来年1月

ワールド

金現物が最高値、4200ドル視野 米利下げ観測や米

ビジネス

サッポロHD、不動産事業売却で「決定した事実ない」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道されない、被害の状況と実態
  • 2
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 5
    【クイズ】アメリカで最も「死亡者」が多く、「給与…
  • 6
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇…
  • 7
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 8
    「中国に待ち伏せされた!」レアアース規制にトラン…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 7
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 8
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 9
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 10
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中