最新記事

朝鮮半島

韓国・文大統領、北朝鮮の脅威をテコに念願の原潜建造?

2017年8月10日(木)20時55分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

潜水艦内を視察する文大統領 青瓦台facebookページより

<国連安保理で北朝鮮への制裁決議が採択されたことを受けてトランプと文在寅(ムン・ジェイン)が行った電話会談。そこで文は北朝鮮への対抗策として原子力潜水艦の建造をトランプに提案した。文もついに北朝鮮との対話を諦め強力な軍事力で圧力をかけるのか?>

電話会談は7日、トランプが休暇を過ごしているニュージャージー州ベッドミンスターの「トランプナショナルゴルフクラブ」へ文が電話をかける形で行われた。前日の国連安保理では、中国とロシアも賛成し全会一致で北朝鮮への制裁決議が採択されており、会談では今後の北朝鮮対応についての両国の結束が確認された。

この会談中、文はトランプに「韓米両国が"力の優位"に基づく強力な圧力と制裁で、最終的に北朝鮮を核廃棄のための交渉の場に引き出すため、共同で努力しなければならない」と強調し、"力の優位"の具体的な方策として韓国軍の防衛能力の向上を挙げ、弾道ミサイルの重量引き上げと、原子力潜水艦導入についてアメリカ側の理解を求めた。

韓国軍は、弾道ミサイルについてアメリカと米韓ミサイル指針という協定で、射程距離800km・最大弾頭重量500kg以内という制限を受けており、これでは有事の際に北朝鮮の核・ミサイル施設や北朝鮮指導部の隠れ家となる地下施設を攻撃するには非力だというのだ。

さらに文は原子力潜水艦保有の必要性についてもトランプに説明をしていた。

【関連記事】トランプをうならせた文在寅の話術
【関連記事】前のめりの韓国、最低賃金アップで文在寅がダウン


原潜建造は文の長年の悲願?

ここでなぜ文が原潜の話を出したのか? それは原子力潜水艦建造というのが文にとって、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権にいたときからの懸案だったからだ。

韓国SBSによると、韓国海軍の主力艦艇である1200トンと1800トン級潜水艦は、ディーゼル式潜水艦で、バッテリーの充電のためにディーゼル機関に空気を取り入れる必要があり、最長でも2週間に1回程度水面に浮上しなければならない。しかし、原子力潜水艦は理論上数か月浮上していなくても、潜行したまま作戦が可能だ。70隻あるとされる北朝鮮の潜水艦戦力に追いつくためには、原子力潜水艦の方が潜行能力、航行速度ともにはるかに有利である。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ドルが急落、156円後半から154円後半まで約2円

ビジネス

為替、基調的物価に無視できない影響なら政策の判断材

ビジネス

訂正野村HD、1―3月期純利益は前年比7.7倍 全

ビジネス

村田製の今期4割の営業増益予想、電池事業で前年に5
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 8

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中