最新記事

アメリカ社会

テイラー・スウィフトが1ドルに込めた思いとは セクハラ裁判で勝訴

2017年8月16日(水)18時10分
松丸さとみ

ストップ・ストリート・ハラスメント」(SSH)という団体が2014年に全米で行った調査では、公共の場で見知らぬ人に「性的に触れられた」経験がある女性の割合は23%、「無理やり性的な何かをさせられた」割合は9%に上った。

また、2015年に22カ国で1万6000人の女性を対象に行われた大規模な調査では、回答者の半数以上が、公共の場で見知らぬ人に性的に体を触られたり痴漢行為をされたりした経験があると回答した(ホラバックと米コーネル大学の合同調査)。

性的暴力の被害女性たちのために

上記の調査結果を伝えたビルボード誌はさらに、SSHの創設者ホリー・カールと大学生のペイジ・ブレイジントンの経験を紹介した。

ブレイジントンは、留学先のハンガリーにいた頃、ブダペストの混んだ電車内で痴漢に遭ったことがあった。その後、男友達にそのことを話すと「楽しんだか」と聞かれたという。ブレイジントンは、「(スウィフトの)この裁判で一番大切なのは、みんながこの問題について話すようになること。こんなことは間違いであり、絶対に起こるべきじゃないってことをみんなに突きつけることになる」として、スウィフトを支持した。

SSHのカールは、自分に起こったことを口にして、信じてもらえなかったり、逆に自分が責められたりする女性が多いと指摘する。カール自身も大学生の時、パーティから帰る際に道で立っていたところ、通りすがりの男性グループの1人に股をつかまれた。男性たちは笑いながら走り去ったが、カールは動けなくなってしまった。このことを警察に届け出ることはしなかったという。

インディペンデント紙は、ミュラーが300万ドルを求めていたのとは対象的に、スウィフトが求めていたのは、「象徴としての1ドルと、他の女性たちのために立ち上がる機会だった」と伝えている。

なおスウィフトは判決後に声明を発表し、性的暴力の被害者を支援する複数の団体に寄付をする意向を明らかにしている。

【参考記事】マライア・キャリー、激太り120キロでも気にしない!?.
【参考記事】自撮りヌードでイランを挑発するキム・カーダシアン

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
 ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

EU、アドテック巡りグーグルに少額の制裁金科す見込

ビジネス

午前の日経平均は大幅続落し4万2000円割れ、半導

ワールド

韓国、北朝鮮向けラジオ放送「自由の声」停止

ワールド

上海協力機構を新たなレベルに引き上げる=中国主席
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマンスも変える「頸部トレーニング」の真実とは?
  • 2
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 3
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シャロン・ストーンの過激衣装にネット衝撃
  • 4
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 5
    「体を動かすと頭が冴える」は気のせいじゃなかった⋯…
  • 6
    映画『K-POPガールズ! デーモン・ハンターズ』が世…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    就寝中に体の上を這い回る「危険生物」に気付いた女…
  • 9
    シャーロット王女とルイ王子の「きょうだい愛」の瞬…
  • 10
    世界でも珍しい「日本の水泳授業」、消滅の危機にあ…
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 3
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 4
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 5
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 6
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 7
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 8
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 9
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 10
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中