最新記事

アメリカ政治

トランプ政権と共和党、国境税導入見送りを決定 法人減税が焦点に

2017年7月28日(金)09時30分

7月27日、米共和党指導部は、税制改革の一環として検討されていた国境税の導入を見送る決定をしたと発表した(2017年 ロイター/Brendan McDermid)

トランプ米政権と与党共和党の指導部は27日、税制改革の一環として検討されていた国境税の導入を見送る決定をしたと発表した。

国境税は、海外で生産した製品を米国に輸入して販売する企業の税負担を重くする目的があり、下院共和党の指導部が導入を訴えてきた。

これに反対するトヨタ<7203.T>などの自動車メーカーや、ターゲット、ベスト・バイ、オートゾーンなどの小売大手は導入阻止を狙い積極的なロビー活動を行ってきた。

ムニューシン財務長官やゲーリー・コーン国家経済会議(NEC)委員長、ライアン下院議長を含む米政権と議会共和党の指導部6人(ビッグシックス)は共同声明を発表し、「国境調整による成長押し上げ効果について討議したが、多くの未知数が存在することを踏まえ、税制改革を進展させるために国境税の導入を棚上げする決定に至った」と説明した。

税制改革の焦点となっている法人税率については、可能な限り低い水準に設定したいとしつつも、合意に達したかどうかについては明らかにしなかった。ロビイストらは、共和党内で引き続き法人税率を巡る意見対立があるようだと指摘した。

ただ、異論の多い国境税を棚上げにすることで、税制改革を巡る協議が進展し、議会通過に道を開く可能性がある。一方で、税制改革法案に抜本策が盛り込まれず、単なる減税措置に落ち着く公算が強まった。

国境税などのあらたな財源なしには、財政中立的で恒久的な税制改革を達成することは難しくなる。

共同声明はまた、企業にさらなる損金の算入、あるいは設備投資の即時償却を認めることや、海外利益の本国送還(レパトリ)に対する税率を35%から引き下げることに引き続きコミットしているとしたが、詳細には踏み込まなかった。

個人所得税についても、「米国の家計への税軽減を改革の中心に据えるべきという点で見解が一致している」としたが、具体的な目標は掲げなかった。

[ワシントン 27日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

EUとスペイン、トランプ氏の関税警告を一蹴 防衛費

ビジネス

英、ロシア2大石油会社に制裁 「影の船団」標的

ビジネス

金現物が連日最高値、4241ドル 米中摩擦や米利下

ワールド

対米通商協議「楽観」、韓国高官が強調 ワシントンで
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 2
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道されない、被害の状況と実態
  • 3
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇跡の成長をもたらしたフレキシキュリティーとは
  • 4
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 5
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 6
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 7
    【クイズ】アメリカで最も「死亡者」が多く、「給与…
  • 8
    「中国に待ち伏せされた!」レアアース規制にトラン…
  • 9
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 10
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中