最新記事

プライバシー

顔認識技術を組み込んだディスプレイ、あなたの心まで丸裸に(前編)

2017年7月27日(木)20時45分
ケイト・ローレンス ReadWrite[日本版]編集部


newsweek_20170727_191342.jpg

あなたの表情も気づかないままに分析されている? (c) ReadWrite[日本版]編集部

これはTwitterユーザーが身元を守ったり、長く連絡を取っていない友人や親戚を見つけたり、新しい付き合いを開拓したりするのに役立っている。FindFaceは西ヨーロッパ最大のSNSであるVK(VK.com)での検索にも対応しており、未解決事件の解決や、犯罪者の特定に使われた実績もある。

彼らは先日、この技術が今や感情や年齢、性別の区別も可能になったと公表した。このことは小売業やセキュリティにおいて大きな影響を及ぼし、監視カメラに映った対象から恐怖や憎しみ、心配などの表情を読み取り、疑うことで犯罪者や逃亡中の容疑者を見つけ出すといったことができるようになるという。

tweetimage20170727_01.jpg

クハレンコ氏に顔認証技術を使ったデジタルサイネージの利用について聞いてみた。彼のコメントは次の通りだ。

「企業が顧客のことをよりよく理解しようとすること自体に問題があるとは思いません。彼らは需要を読んでいるのであり、これは人類が生まれて以来、企業が常に行ってきたことです。今ではビーコンやWiFiルータを使い、人々がどこでどのように生活しているのかという情報が大量に集められています。顧客のオンラインでの振る舞いを分析することで、好みや趣味といったことについてのあらゆる情報が集められることになります。人の感情を統計的に扱うのは今の世の中では普通のことだと言えます」

スタートアップ(であれ何であれ)企業が自分たちの技術の使われ方についてどこまで影響力を持っているものなのだろうか? クハレンコ氏は、顔認証サービスは既にいくつかのショッピングモールで、出入りする人々の感情をモニターするのに使われていると説明し、更にこう付け加えた。

「世の中をより安全かつ快適なものにすることが我々の任務です。私たちの商品戦略や技術を使ったプロジェクトはこのことを達成するためのものです。どんな技術であれ、いい使い方をされることもあれば悪用されることもあるでしょう。いい影響を及ぼす利用例が、批判を起こす例の何百倍にもなることを信じます。個人での宇宙旅行について語られる世の中で、VR、ARやデジタル経済、情報の透明性についての人々の認識が50年前とさほど変わらないというのは妙な気もします。彼らは考えを変え、プライバシーとは何かということを見直す必要があるでしょう」

(以下、後編に続きます

 

footerlogo.png
ReadWrite[日本版]編集部

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

DBSグループ第1四半期は2%減益、不確実性増大で

ワールド

スロバキアとハンガリー、EUのロシア産ガス輸入停止

ビジネス

配車グラブ、第2四半期にインドネシア同業GoTo買

ビジネス

米ウーバー、第1四半期売上高が予想に届かず 見通し
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 2
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 3
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗と思え...できる管理職は何と言われる?
  • 4
    中高年になったら2種類の趣味を持っておこう...経営…
  • 5
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 6
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 7
    「関税帝」トランプが仕掛けた関税戦争の勝者は中国…
  • 8
    あのアメリカで「車を持たない」選択がトレンドに …
  • 9
    首都は3日で陥落できるはずが...「プーチンの大誤算…
  • 10
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 3
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 8
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 9
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 10
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中