最新記事

米ロ関係

トランプ大統領、対ロシア制裁強化法案へ前向きな姿勢

2017年7月24日(月)10時15分

7月23日、米ホワイトハウスは、上下両院の指導部が合意した対ロシア制裁強化法案の署名にトランプ大統領(写真)が「オープン」な姿勢だと明らかにした。21日撮影(2017年 ロイター/Carlos Barria)

米ホワイトハウスは23日、上下両院の指導部が合意した対ロシア制裁強化法案への署名にトランプ大統領が「オープン」な姿勢だと明らかにした。

議会民主党は22日、ロシア、イラン、北朝鮮への追加制裁を認める法案を巡り、共和党と合意したと発表。同法案は、米政権が制裁解除を含め対ロシアの外交方針を大幅に変更する場合に大統領に議会への報告を義務付けるもの。

上院ではすでに可決済み。下院のマッカーシー共和党院内総務のオフィスによると、下院では25日に採決が予定されている。

ホワイトハウス当局者は「トランプ政権は法案の方向性を支持するが、法案の最終版が完成するまでは内容に立ち入らない」と語った。

法案は、ロシアによる2014年のウクライナ南部クリミアの併合と2016年米大統領選への介入を巡り、ロシアに制裁を科すもの。ロシアのプーチン大統領は昨年、米大統領選への関与を否定している。

法案は1カ月前に上院で可決された後、共和党が対北朝鮮制裁を盛り込むことを提案し、下院で審議が止まっていた。

ホワイトハウス広報部長に新たに就任したアンソニー・スカラムッチ氏は23日、CNNの番組で、トランプ大統領は法案に署名するかどうかを決めていないが、「間もなく判断する」との見方を示した。

共和党と民主党の議員らは23日、法案は両党から幅広い支持を得ていると明らかにした。

これより先、欧州連合(EU)は22日、米国が独自に対ロシア制裁を強化する動きに懸念を表明し、主要7カ国(G7)のパートナーとの協調を図るよう米国政府に要請した。

EU当局者によると、トランプ大統領が対ロシア制裁強化法案に署名する場合、欧州委員会は26日の会合で対策を協議する予定で、報復措置の検討も視野に入れている。

欧州委のユンケル委員長は、米国の制裁法案により、ウクライナにガスを供給するロシアのパイプラインの更新作業を行う欧州企業が打撃を受ける可能性を懸念している。

EU当局者によると、米国の制裁措置は、鉄道輸送や金融、海運、鉱業の分野でロシアと合法的なビジネスを行う欧州企業も対象となる可能性がある。

一方、EUが米国に報復措置を講じるには加盟国政府の支持が必要であり、英国やハンガリーなど米政権との関係を悪化させたくない国は反対するとみられる。

[ワシントン 23日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

鉄鋼関税、2倍の50%に引き上げへ トランプ米大統

ワールド

トランプ米大統領、日鉄とUSスチールの「パートナー

ワールド

マスク氏、政府職を離れても「トランプ氏の側近」 退

ビジネス

米国株式市場=S&P500ほぼ横ばい、月間では23
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プーチンに、米共和党幹部やMAGA派にも対ロ強硬論が台頭
  • 3
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言ってがっかりした」
  • 4
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 5
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多い国はどこ?
  • 4
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 5
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 6
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 9
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中