最新記事

ペット

「川をキレイに!」 ペットボトル・ゴミを回収する環境意識高い系ワンコが話題に

2017年7月18日(火)17時50分
松丸さとみ

Vocativ-Youtube

中国で10年間黙々と川からペットボトルのゴミを集めているゴールデン・レトリバーが、「環境にやさしい」、「エコだ」と話題になっている。

猟犬DNAのなせる業(わざ)?

ゴールデン・レトリバーとは、語源となった「retrieve(回収する)」が示す通り、もともとは猟犬だ。19世紀にスコットランドで交配された当初は、ハンターが水や陸に撃ち落とした狩猟鳥を回収する役目を負っていた。現在はほとんどの場合、飼い犬として愛されているようだ。しかしそんな猟犬としてのDNAのなせる業(わざ)か、ゴミだらけの川でせっせとペットボトルを回収している中国のゴールデン・レトリバーが話題になっている。

この犬は中国江蘇省の蘇州に住んでいるゴールデン・レトリバーで、名前は不明だ。1日に20〜30本のペットボトルを地元の川で拾い集めている。川でペットボトルのゴミを集め始めたのは10年ほど前からだそうで、これまで回収してきた数は2000本以上に上る。1度に取ってこられるのは口にくわえることができる1本だけ。ペットボトル・ゴミを1本ずつ集めるひたむきな姿は注目を集めるようで、人民日報は、このゴールデン・レトリバーが地元では「セレブリティ」(著名人ならぬ著名犬)になっていると伝えている。

環境意識高いエコ・ワンコ

中国の英字新聞「上海日報」によると、川からペットボトルを回収してきた犬は、自らゴミ箱に捨てに行くという。自分で入れられないゴミ箱の場合、くわえてきたペットボトルをゴミ箱の近くに落とし、飼い主に捨ててもらう。同紙は、環境にやさしいこの犬のエコ活動を見ようと、多くの人が集まっていると伝えている。

【参考記事】垂れ耳猫のスコフォがこの世から消える!? 動物愛護団体から残酷との声

記事には、このゴールデン・レトリバーが、観光船のような船から乗客が見守るなか泥色の川でペットボトルをくわえて泳ぐ写真や、川から上がってびしょ濡れの姿でゴミ箱の前に立っている写真が掲載されている。

アメリカの映像メディアVocativは、この犬が実際に川からペットボトルをくわえて陸に上がる様子を動画付きで紹介している。記事によると、飼い主が「取って来い」と命令すると、犬が川に入りペットボトルを探して拾ってくるのだという。

Vocativは、世界のペットボトル需要のうち中国は28%を占めており、その結果、中国の川の多くはゴミでひどく汚染されていると伝えている。

また、この犬の話題を報じた米メディアのメンタルフロスは、パブリック・ラジオ・インターナショナルが2016年1月に掲載した記事を引用し、世界中の海に流れ着くプラスチック・ゴミのうち60%が、中国、インドネシア、フィリピン、タイ、ベトナムの5カ国から出たものだと指摘している。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏「北朝鮮問題は解決可能」、金正恩氏と良好

ワールド

トランプ氏、ガザ停戦「1週間以内に実現可能」

ワールド

イラン、IAEAの核施設視察を拒否の可能性 アラグ

ワールド

「トランプ氏の希望に応じる」、FRB議長後任報道巡
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 2
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急所」とは
  • 3
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 4
    富裕層が「流出する国」、中国を抜いた1位は...「金…
  • 5
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 6
    韓国が「養子輸出大国だった」という不都合すぎる事…
  • 7
    ロシア人にとっての「最大の敵国」、意外な1位は? …
  • 8
    伊藤博文を暗殺した安重根が主人公の『ハルビン』は…
  • 9
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 10
    【クイズ】北大で国内初確認か...世界で最も危険な植…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 4
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 7
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 8
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 9
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 10
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中