最新記事

クリーンエネルギー

欧州の風力発電は正念場へ 生き残り賭けた300mの超巨大風車

2017年7月1日(土)12時02分

英リバプール沖の風力発電所と航行中の客船。2011年9月撮影(2017年 ロイター/Phil Noble)

欧州の風力発電事業者は、高層ビルにも匹敵する、新世代の巨大風車に将来を賭けようとしている。それは欧州各国で、1990年代以降グリーン産業を形成してきた補助金が削減されるなか、彼らが生き残る鍵になるとみられている。

洋上風力発電の世界的大手であるデンマークのドン・エナジー、独EnBW、スウェーデンのバッテンフォールの3社はそれぞれ、政府の補助金削減への対応策として、巨大風車に着目しているとロイターに語った。

少なくとも、シーメンス・ガメサが、来年までに巨大風車のプロトタイプを建設し、今後5年以内に最初のウィンドファームが稼働する見込みだ、と風力発電機メーカーや技術者への取材で明らかになった。

巨大風車は、それぞれ高さ300メートルにも達し、西ヨーロッパで一番高い英ロンドンの「ザ・シャード」ビルとほぼ並ぶ高さで、回転面の直径は200メートルと、サッカー場2つ分を並べた長さになる。

1990年代初頭から発展を支えてきた政府補助金の段階的打ち切りが決まり、風力発電業界は重要な岐路に立たされている。欧州各国では、風力発電を商業採算ベースに乗せ、他の電力源と競争できるようにするため、かねてからの計画通り、補助金を削減して圧力をかけ始めた。

欧州の洋上発電産業の拠点となっているデンマーク、ドイツ、オランダ、英国は、今後10年で段階的に補助金をなくす方針だ。事業者にとっては重要な収入源が絶たれることを意味する。2014年に実施された入札では、補助金はいまだに欧州の風力発電事業の収入の半分程度を占めていた。

こうした状況を受け、ドン・エナジーとEnBWは、2024年に運転を開始するドイツ風力発電所プロジェクトの4月入札において、補助金を考慮しない事業計画案を提示した。補助金ゼロを前提とした入札は業界初で、風力発電業界の一里塚となる出来事となった。

その一方で、風力発電事業者がいかに利益を上げて自らの存続を図りつつ、石炭火力や原子力発電の代替となり得る商業的に魅力的な電力提供ができるのかとの疑問の声も上がった。

事業者によると、答えは、巨大風車だ。より多くの風を捉え、メガワットあたりの発電コストを下げることができるという。巨大風車1台あたりの出力は10─15メガワットになる。現在稼働している最大の風車は、三菱重工業とデンマークのベスタスの合弁企業「MHIベスタス」が製造したもので、高さ195メートル、出力は8メガワットだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

インドネシア大統領、訪中取りやめ 首都デモが各地に

ビジネス

中国製造業PMI、8月は5カ月連続縮小 内需さえず

ワールド

ロシア軍参謀総長、前線で攻勢主張 春以降に3500

ワールド

イエメンのフーシ派政権首相ら死亡、イスラエルの首都
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 2
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 3
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 4
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 5
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 6
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 7
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 8
    「体を動かすと頭が冴える」は気のせいじゃなかった⋯…
  • 9
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 10
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 3
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 4
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 5
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 6
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 7
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 8
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 9
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 10
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中