最新記事

南米

ベネズエラ最高裁をヘリで攻撃したのは、警官兼アクションスターだった

2017年6月29日(木)19時41分
ソフィア・ロット・プレジオ

警察のイベントでポーズをとるぺレス(カラカス、2015年3月) Christian Veron- REUTERS

<警察のヘリを奪って最高裁を襲撃。テロか?と思ったら、イケメン警官の大胆な反政府行動だった>

ベネズエラの首都カラカスでおととい、ヘリコプターで最高裁判所を上空から攻撃したのは、ベネズエラ警察の警官による反政府行動だった。事件直前にはニコラス・マドゥロ大統領が、政権維持のためには武力行使も厭わないと反政府勢力を脅していた。

ベネズエラ政府の発表によれば、実行犯はオスカル・アルベルト・ぺレスで、最高裁に「手投げ弾を少なくとも4発」を落とした。ヘリコプターは警察から盗んだものだ。

ベネズエラ在住の記者が撮影した動画やソーシャルメディアで広まった画像を見ると、上空のヘリコプターからスペイン語で「350 Libertad」(350自由)と書かれた垂れ幕が下がっている。民主主義や人権を侵す政権に対しては不服従を認めたベネズエラ憲法の第350項のことだ。



襲撃の夜、ベネズエラ政府は動画投稿サイト「ユーチューブ」に声明を発表。ペレスの行動はマドゥロ政権の転覆を狙った「テロ攻撃」であると断言。ペレスと米情報機関との関連を捜査中だと述べた。

フォロワーが20万人超

一方野党の指導者は、事件は反政府デモを弾圧するマドゥロへの批判をかわすための、政府派の自作自演だと一蹴した。

ペレスはインスタグラムの動画で犯行声明を出した。ペレスは軍服姿で、戦闘服と覆面姿の4人に囲まれている。

「我々は祖国に代わって呼びかける。この犯罪的で短命の政府に対抗する軍人や警官、文民職員の連合だ」とペレスは言った。「我々は国家主義者で愛国主義者で制度主義者だ」

「本日、我々が空からの作戦を行った目的はただ一つ。主権者たる国民に権力を取り戻し、憲法に基づく秩序を回復するためだ」とペレスは言い、マドゥロの退陣と総選挙の実施を求めた。

ぺレスは2012年6月からインスタグラムを始めており、フォロワーは20万人を超える。ベネズエラのことを「私の国、私の情熱」と呼ぶペレスは、ベネズエラの科学刑事犯罪捜査機関(CICPC)における特殊行動部隊(BAE)の警察部隊に所属していた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン、イスラエルへの報復ないと示唆 戦火の拡大回

ワールド

「イスラエルとの関連証明されず」とイラン外相、19

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、5週間ぶりに増加=ベー

ビジネス

日銀の利上げ、慎重に進めるべき=IMF日本担当
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 4

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中