最新記事

温暖化対策

トランプ米大統領、パリ協定「もうすぐ」決断 離脱報道受け

2017年6月1日(木)09時44分

5月31日、トランプ米大統領は「パリ協定」からの離脱を決めた。写真はイタリアで27日撮影(2017年 ロイター/Jonathan Ernst)

トランプ米大統領は31日、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から離脱を決めたとの報道について「もうすぐ分かる」と述べ、決断が近いことを明らかにした。事情に詳しい関係筋によると、大統領は離脱を準備している。

離脱が事実なら、世界でパリ協定に参加していないのはシリア、ニカラグア、米国のみとなり、米国の同盟国との亀裂が深まる可能性がある。

トランプ大統領はホワイトハウスで記者団の問い掛けに対し、すでに決断を下したかどうかについては言及を避けたうえで、「両方の立場について多くの人の意見を聞いている」と語った。

関係筋によると、トランプ氏はプルイット環境保護局(EPA)長官とともに離脱の条件を検討している。

スパイサー大統領報道官は定例会見で、完全撤退以外の道を選ぶ可能性があるかどうかについてコメントを避けた。

2015年にパリで採択されたパリ協定には195カ国が署名。オバマ前米政権は2025年までに地球温暖化ガスの排出量を05年比で26─28%減らすと表明していた。

一方、国内石油・石炭産業支援を目指すトランプ氏は、昨年の大統領選で同協定からの離脱を公約。同氏は先週の主要7カ国(G7)首脳会議で、決定には一段の時間を要するとして、協定への支持表明を拒否していた。

米国は温暖化ガス排出量が中国に次いで世界第2位であるため、米国の離脱はパリ協定での温暖化ガス削減の取り組みに甚大な影響を及ぼすことになる。

米経済界では、エクソンモービルやアップル、ダウ・ケミカル、ユニリーバ 、テスラなどの大手企業の最高経営責任者(CEO)がこれまでトランプ氏に対し残留を求めた。一方、選挙中にトランプ陣営の大口献金者だった石炭会社マレー・エナジーのCEOはトランプ氏に離脱するよう迫った。

31日の取引で米石炭・再生可能エネルギー株は下落。米国の離脱によって、海外の石炭権益が逆風にさらされるとの懸念を映した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ米政権、日本のロシア産エネ輸入停止を期待=

ビジネス

焦点:過熱するAI相場、収益化への懸念で市場に警戒

ビジネス

午前の日経平均は続伸、米ハイテク株高や高市トレード

ワールド

ハンガリー外相、EUのロシア産エネルギー輸入廃止を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 2
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道されない、被害の状況と実態
  • 3
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇跡の成長をもたらしたフレキシキュリティーとは
  • 4
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 5
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 6
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 7
    【クイズ】アメリカで最も「死亡者」が多く、「給与…
  • 8
    「中国に待ち伏せされた!」レアアース規制にトラン…
  • 9
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 10
    間取り図に「謎の空間」...封印されたスペースの正体…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 7
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 8
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中