最新記事

テロ組織

ISISの終焉:支配地域は縮小、資金も枯渇

2017年6月30日(金)15時30分
ジャック・ムーア

イラク軍が奪還したモスルのヌーリ・モスクは内部から爆破されている Erik de Catro-REUTERS

<イラクのモスルに続いてISISが「首都」と称するシリアのラッカに包囲網が迫っている。支配地域の60%以上、収入の80%を失ったISISは、今後1年のうちに消滅する>

ISIS(自称イスラム国)はおそらく今後1年のうちに終焉を迎えるだろう。支配地域を失うからだけでなく、収入源も失うからだ。

ロンドンに拠点を置く軍事コンサル「IHSマークイット」によると、ISISはイラクとシリアの国境をまたいで支配していた地域をすでに60%以上失ったが、収入はこの2年で80%を失った。

2015年1月の時点では、約9万平方キロの地域を支配していたが、2年半後の現在は3万6200平方キロまで支配地域を縮小した(ただ現状でもその範囲はニュージャージー州の約2倍に相当する)。

【参考記事】シリア東部はアサドとイランのものにすればいいーー米中央軍

「ISISは、急速な膨張から徐々に衰退に向かっていると表現できる」と、IHSマークイットの中東担当上級アナリスト、コラム・ストラックは話している。「建国宣言から3年が経過した今、彼らの統治プロジェクトが破綻したことは明白だ」

isismap01.jpg

5月9日時点のISIS支配地域(図中の濃いグレーがISISと傘下組織の支配下にある) NEWSWEEK

同様にその収入も、2015年4~6月期の8100万ドルから2017年4~6月期には1600万ドルへと激減した。

アメリカ主導の有志連合の空爆やイラク、シリアの地上軍の攻撃で、石油生産や密輸、徴税、誘拐による身代金や収奪といったISISの収入源となっていた活動はほとんど消失した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

訂正(7日配信記事)-英アストラゼネカが新型コロナ

ワールド

EXCLUSIVE-チャットGPTなどAIモデルで

ビジネス

円安、輸入物価落ち着くとの前提弱める可能性=植田日

ワールド

中国製EVの氾濫阻止へ、欧州委員長が措置必要と表明
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食...止めようと叫ぶ子どもたち

  • 3

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グラフ」から強さを比べる

  • 4

    迫り来る「巨大竜巻」から逃げる家族が奇跡的に救出…

  • 5

    習近平が5年ぶり欧州訪問も「地政学的な緊張」は増す…

  • 6

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    イギリスの不法入国者「ルワンダ強制移送計画」に非…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 8

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 9

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 10

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 10

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中