最新記事

米中関係

駐米中国大使とも密通していたクシュナー氏

2017年5月29日(月)16時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

だから、4月6日、7日の米州首脳会談では習近平国家主席はトランプ大統領に「一帯一路サミットフォーラムに米国が参加するように」、優先的に依頼した。

中国における米中首脳会談の報道は、「一帯一路サミットフォーラムに米国代表を送るようにトランプ大統領に言った」ということが最も大きな成果として挙げられていた。あたかも、トランプ大統領が「承諾した」というような報道のしようだった。

案の定、アメリカは代表を送り込み、日本もアメリカに倣(なら)った。

中国の計算通りだ。

アメリカがTPPから撤退した以上、グローバル経済の世界の覇者になるのは中国だと、中国は思っている。

そのためには人民元の国際化だけでなく、国際金融の中心をウォールストリートから北京に持っていくことが重要だ。

一帯一路とAIIBはペアで動いており、一帯一路は中国の安全保障を裏づけていく構想でもある。インフラ投資を表向きの看板としているが、それを名目として一帯一路沿線国・地域、つまり陸と海の新シルクロード経由地に物流の拠点とともに軍港を建設していく。すべて中国の影響力下に置くという寸法だ。

この構想の中に日米が「ひれ伏して」入ってくるなら、世界はもう、中国のものだ。中国はそう思っている。

習近平政権の国家スローガン「中華民族の偉大なる復興」とは、アヘン戦争でイギリスに敗北して以来の列強諸国による中国の植民地化に対する報復と、日米を凌駕することなのである。

日中関係改善の兆しなどと喜んでいていいのか

拙著『毛沢東 日本軍と共謀した男』で詳述したように、中国共産党・毛沢東は「統一戦線」の名のもとに国共合作をし、「日本軍と戦う振りをして日本軍と手を組み」、日本の対戦相手である国民党・蒋介石を弱体化させていった。そして毛沢東は最終的に天下を取ったのである。

「統一戦線を張れ」と命令してきたのはモスクワのコミンテルンだ。

まさに、第二次世界大戦のときに旧ソ連のコミンテルンがアメリカのルーズベルト政権に潜り込み、日本の近衛内閣にも潜り込んで、ソ連に有利な方向に世界を持っていき、そして日本を一気に敗戦へと追い込んだ状況を彷彿とさせる。

あのころのコミンテルンの役割を、いまロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席が演じている。

中国の洗脳の力を軽んじてはならない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

イスラエル、ガザ停戦協定の履行再開と表明 空爆で1

ビジネス

米エヌビディア時価総額5兆ドル到達、世界初 AIブ

ビジネス

ボーイング「777X」、納入を27年に延期 損失計

ビジネス

カナダ中銀、2会合連続で0.25%利下げ 利下げサ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    コレがなければ「進次郎が首相」?...高市早苗を総理に押し上げた「2つの要因」、流れを変えたカーク「参政党演説」
  • 3
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」にSNS震撼、誰もが恐れる「その正体」とは?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【クイズ】開館が近づく「大エジプト博物館」...総工…
  • 6
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 7
    リチウムイオンバッテリー火災で国家クラウドが炎上─…
  • 8
    怒れるトランプが息の根を止めようとしている、プー…
  • 9
    「ランナーズハイ」から覚めたイスラエルが直面する…
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 9
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 10
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中