トランプと習近平の「蜜月」 アジア各国は「米中G2」を疑心暗鬼

2017年5月3日(水)10時46分

対立が深まる南シナ海の領有権問題について、トランプ政権は現在のところ、曖昧な姿勢を示している。中国は、世界の貿易ルートとして欠かせないこの海域の大部分が自国の領海だと主張しており、ブルネイ、マレーシア、フィリピン、ベトナムと台湾も、それぞれの領有権を主張して反発している。

米国は近年、南シナ海における緊張の高まりや、中国による人工島の建設加速を受け、同海域への米艦船派遣を増やしていた。だがトランプ政権下では、領有権が争われている島嶼(しょ)や岩礁の近くを航行して中国に対抗する「航行の自由」パトロールを、まだ行っていない。

米政権の高官は、中国が北朝鮮に対してどの程度圧力を強めるのかを見極めている段階において、南シナ海のようなセンシティブな問題で中国と敵対するのは避けたい、とロイターに語った。ただこのことは、アジア太平洋地域で拡大する中国の軍事的、経済的影響力に対抗する努力をやめることを意味しないとも同高官は付け加えた。

米太平洋軍のハリス司令官は26日、議会での証言で、南シナ海のパトロール航行を早期に再開する意向を示し、同海を軍事拠点化する中国に対する懸念を繰り返した。

「トランプ大統領と習主席の新たな友好関係を踏まえると、太平洋軍が、新たな『航行の自由』航行計画の承認を得るのはかなり難しくなったといえるかもしれない」と、ストーリー氏は語った。

予測不能

第2次世界大戦の謝罪問題を巡り、時に中国政府と反目する日本の政府高官は、急進展するトランプ大統領と習主席の友情が日米関係に及ぼし得る影響は軽微だと主張する。

「トランプ大統領が習主席への態度を和らげたことはパワーバランスの変化のように見えるかもしれない。だが日米の安全保障協力関係は極めて安定しており、現在の北朝鮮を巡る危機対応においてもそれは確認されている」と、同高官はロイターに語った。

一筋縄ではいかない台湾問題も、米中関係を乱しかねない要因として以前健在だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル、レバノン首都南郊空爆 ヒズボラのロケッ

ワールド

インド、「ガス不足で冷静な対応を」 消費者にエネル

ワールド

トルコ大統領、イラン戦争の停止訴え 「中東全体が火

ワールド

高市首相、米議会での演説見送り 米側から提案
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 2
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃に支持が広がるのか
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 5
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 6
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 7
    「邪悪な魔女」はアメリカの歴史そのもの...歌と魔法…
  • 8
    イランがドバイ国際空港にドローン攻撃...爆発の瞬間…
  • 9
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 10
    ホルムズ封鎖で中国動く、イランと直接協議へ
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 5
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 6
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 7
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 8
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 9
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 10
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中