最新記事

イギリス

英メイ首相の保守党、6月総選挙で過半数割れの可能性

2017年5月31日(水)09時02分

5月30日、6月8日に実施される英総選挙で、メイ首相率いる保守党が過半数議席を確保できない可能性がある。タイムズ紙がYouGovの調査結果を引用して報じた。代表撮影(2017年 ロイター/Leon Neal)

6月8日に実施される英総選挙(下院、定数650)で、メイ首相率いる保守党が過半数議席を確保できない可能性がある。タイムズ紙が30日、調査会社ユーガブの報告を引用して報じた。

大半の世論調査では保守党が議席を増やし、過半数を維持するとの結果が出ているのに対し、ユーガブが選挙区ごとのモデル化を行った調査によると、保守党は選挙前の330議席から20議席を失う可能性がある。一方、労働党は30近く議席を増やす可能性があるという。

そうなれば、保守党は過半数の326議席に16議席足りない計算となり、他党の協力が必要になる。

保守党は前回2015年の総選挙で、他党との差が17議席となった。この差が縮まれば、英国の欧州連合(EU)離脱交渉を進めるメイ政権にとって大きな打撃となる。

前週にかけて実施された7つの世論調査を総合すると、労働党に対する保守党のリードは狭まっており、1カ月前に予想されていた地滑り的勝利にはならないことを示すものもある。

メイ首相は18日、総選挙に向けた与党・保守党のマニフェスト(政権公約)を発表し、高齢者の一部による医療費負担を増やす案を打ち出した。反対派からは「認知症税」と揶揄(やゆ)され、これ以来、保守党のリードは急速に縮小している。一方で労働党は、22人の死者を出したマンチェスターでの自爆攻撃の一因が警察官の減少にあると批判。警察官を1万人増員することを公約に掲げた。

これまでの世論調査では、保守党が過半数議席を獲得できない可能性を示唆したものはなかった。

タイムズは、今回の新しい調査モデルは前週に収集された投票意思に基づくもので、これによると支持率は保守党が42%、労働党が38%だったと説明した。

ユーガブはこの予想結果が物議を醸すもので、多くの英国人の通常の投票パターンにおける大幅な変化を示唆していることを認識しているという。ただ同社のスティーブン・シェークスピア最高経営責任者(CEO)はタイムズに対し、この調査モデルは昨年のEU離脱の是非を問う国民投票を控えた期間にテストし、継続的に「離脱賛成派」のリードを予想していたという。

調査は5万人を対象に1週間にわたって実施された。

[ロンドン 30日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国GDP、第2四半期は5.2%増で予想上回る 米

ワールド

インド6月卸売物価指数、前年比-0.13% 19カ

ビジネス

午前の日経平均は小反発、国内金利上昇で上値重い 金

ワールド

7─9月の石油需要「非常に強い」=OPEC事務局長
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機」に襲撃されたキーウ、大爆発の瞬間を捉えた「衝撃映像」
  • 2
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中にまさかの居眠り...その姿がばっちり撮られた大物セレブとは?
  • 3
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別「年収ランキング」を発表
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 6
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 7
    【クイズ】次のうち、生物学的に「本当に存在する」…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 10
    「このお菓子、子どもに本当に大丈夫?」──食品添加…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 9
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 10
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中