最新記事

アメリカ政治

トランプ政権、壁建設費で民主の支持取り付けに躍起 予算期限迫る

2017年4月25日(火)12時40分

 4月24日、トランプ米政権(写真)は、現行の暫定予算の期限が今週末に迫るなか、野党民主党に対しメキシコ国境の壁建設費用を新たな予算に盛り込むことに合意するよう強く求めた。ホワイトハウスの大統領執務室で撮影(2017年 ロイター/Kevin Lamarque

トランプ米政権は24日、現行の暫定予算の期限が今週末に迫るなか、野党民主党に対しメキシコ国境の壁建設費用を新たな予算に盛り込むことに合意するよう強く求めた。民主党は反対する姿勢を崩しておらず、予算の期限切れによる政府機関の閉鎖を回避するための調整は難航している。

トランプ大統領は就任から100日となる今月29日を前に、不法移民の流入を阻止するためとして建設を指示しているメキシコ国境の壁の財源を確保することで、主要公約を実現したい考え。

しかし、新たな予算案で合意がなければ、連邦政府機関の一部は29日に閉鎖に追い込まれ、数十万人の職員が一時帰休に入ることになる。影響を受けるのは国立公園や連邦政府の資金で賄われている医学研究などで、法執行機関など重要性が高い機関は業務を継続する見通し。

スパイサー大統領報道官は、メキシコ国境の壁建設は依然として政権の優先課題だと強調。

「大統領はこの予算継続決議(CR)で2つの優先事項があると言明してきた。1番目は国防費の増額で、2番目は国土安全保障と(メキシコ国境の)壁だ」と述べた。

同氏は、議会との調整の方向性は正しいと確信しており、近く何らかの発表がある見通しだと語った。

新たな予算は28日から9月30日までとされており、上院(定数100)での可決には60の賛成票が必要。上院の共和党議席は52で、民主党の一部が支持しなければ可決できない。

トランプ大統領はこれまで、メキシコ国境の壁は不法移民や違法薬物の流入阻止に必要だと主張してきた。同氏は24日、ツイッターに投稿し、「壁が建設されなければ、薬物をめぐる状況を改めることは絶対できない。壁は建設されるだろう」と強調した。

壁建設に反対する民主党指導部のチャック・シューマー議員は、ホワイトハウスが予算案を受け入れる条件として壁建設の費用計上を提示するまでは、議会での共和党との調整は順調に進んでいたとの認識を再度示し、政権を批判した。



[ワシントン 24日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請、20万8000件と横ばい 4月

ビジネス

米貿易赤字、3月は0.1%減の694億ドル 輸出入

ワールド

ウクライナ戦争すぐに終結の公算小さい=米国家情報長

ワールド

ロシア、北朝鮮に石油精製品を輸出 制裁違反の規模か
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 8

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 9

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 10

    「みっともない!」 中東を訪問したプーチンとドイツ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中