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米中関係

米中首脳会談の結果を、中国はどう受け止めたか?

2017年4月10日(月)06時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

この歌は中国人民解放軍専属の歌手だった彭麗媛夫人が歌ったことでも有名で、習近平国家主席がまだ浙江省の書記をしていた2005年の春節の宴で歌った映像も残っている(「春節の宴」は日本の「紅白歌合戦」に相当するようなCCTVの恒例行事)。

イヴァンカさんは自分の子供たちに中国語を覚えさせ、今年のワシントンにある中国大使館で春節の催しが開かれたときには、子供たちを連れて中国大使館に行ったこともある。

彭麗媛夫人はそのことを最大限に利用して、「夫人外交」を展開した。

習近平国家主席のこのたびの外訪は、フィンランド訪問を含めて専門のウェブサイト >「出訪Visit」(新華網)などが作成され、大々的に「外交勝利」を謳っている。

中国にとって「勝利」ではなかったはず――共同記者会見もなく

二日目(現地時間7日)の実務的会談や二人だけの散歩に関しては、多くのメディアが「新華網」の写真などを転載している。たとえば「中華網」などがあり、動画ではCCTV13(広告が二つあった後に画面が出てくる)で観ることができる。

いずれも「習近平・トランプ」の緊密さと中国の「外交勝利」を讃えるものばかりだ。

しかし共同記者会見さえなかった首脳会談が、「勝利」だとは、とても思えない。

結果は?

結果的に米中間で、おおむね以下のような方向性が確認されたようだ。

●貿易に関しては100日間かけて両国間で協議解決する。

●北朝鮮に関しては米中とも北の暴走を食い止めることでは一致しているが、方法論に関しては平行線。中国はあくまでも米朝が対話のテーブルに着くことを要求し、アメリカは(シリア同様)、いざとなったら軍事攻撃をとることを選択肢の一つとする。同時に北と関係を持っている中国企業を個別に叩いていく。これに対して習近平側は、明確な回答を避けている(後者に関しては、黙認したとも受け取れる)。

では、今後中国はどうするのか?

これに関しては、筆者の推測だが、中国はいま、以下のような可能性を考えているのではないだろうか。

○アメリカがシリアを攻撃したことにより、北朝鮮がさらに核・ミサイル開発を加速させる危険性がある。

○アメリカがシリアに力を注がなければならなくなった分、北朝鮮には、それほど大きな力を注げなくなる可能性がある。だから、ひょっとしたら逆に北への武力攻撃は抑制するかもしれない。

○アメリカはロシアを完全に敵に回したので、北への攻撃がしにくくなる。全面戦争になる可能性が高まるから、決断を延期するかもしれない。

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