最新記事

ブレグジット

EU、英メイ首相の総選挙実施を歓迎 国内基盤強化に期待

2017年4月19日(水)10時10分

4月18日、欧州連合(EU)は、6月8日の英国の総選挙実施について、EU離脱(ブレグジット)を推し進めるメイ首相の国内基盤強化につながるとして歓迎する姿勢を表明した。写真は英国とEUの旗、ロンドン市内で3月撮影(2017年 ロイター/Peter Nicholls)

欧州連合(EU)は、6月8日の英国の総選挙実施について、EU離脱(ブレグジット)を推し進めるメイ首相の国内基盤強化につながるとして歓迎する姿勢を表明した。一方、EU当局者の間では、総選挙の結果が離脱方針の撤回につながるとの見方はほとんど示されていない。

メイ首相は18日、総選挙を前倒しする意向を表明。離脱交渉に向けた政府の方針について国民の信を問うことで、首相としての足場を固める狙いがある。

この発表を受けてあるEU当局者は「(総選挙によって)有権者の強力な支持を得た強い英国のリーダーがわれわれとの交渉に当たる結果になるとの期待がある」と指摘した。

EU交渉担当者らはこれまで、ブレグジットを巡って英与党や有権者の意見が割れていることについて、交渉の期限とされる2019年3月までに離脱の条件で合意し、秩序ある離脱プロセスを実現することへの妨げになるとして懸念を示していた。

メイ首相がEU離脱に伴って欧州単一市場からも離脱する意向を示したことから、EUでは英国残留への望みは薄れ、その代わり英国に続く離脱国が出ないよう、結束して厳しい姿勢で英国との交渉に臨もうとする方針に傾いている。

トゥスクEU大統領は英総選挙実施の発表を受けてツイッターで、「ブレグジットはヒッチコックが監督したに違いない。最初に地震が起こり、その後緊張が高まる」とつぶやき、劇的な展開を映画監督のアルフレッド・ヒッチコック氏の作品になぞらえた。

トゥスク氏の報道官は、英国との離脱交渉に向けたEU側の日程に変更はないことを明らかにした。今後は4月29日にEU首脳会議が予定されており、交渉は6月に始まるとみられている。

ブレグジットからの離脱には「ノー」

世論調査では、メイ首相の与党・保守党は最大野党・労働党を支持率で大幅に上回っており、総選挙では圧勝するとみられる。

ドイツ与党・キリスト教民主同盟(CDU)幹部のノルベルト・レットゲン氏は「ブレグジットからの離脱に望みを抱く根拠はまったくない」と述べ、総選挙が英国のEU残留につながる可能性を否定した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

パリのソルボンヌ大学でガザ抗議活動、警察が排除 キ

ビジネス

日銀が利上げなら「かなり深刻」な景気後退=元IMF

ビジネス

独CPI、4月は2.4%上昇に加速 コア・サービス

ワールド

米英外相、ハマスにガザ停戦案合意呼びかけ 「正しい
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 4

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    ナワリヌイ暗殺は「プーチンの命令ではなかった」米…

  • 10

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    「誰かが嘘をついている」――米メディアは大谷翔平の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中