最新記事

日本政治

森友学園問題、中国でねじれ報道――「極右教育」籠池氏側に立つ?

2017年3月27日(月)17時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

森友学園問題、籠池理事長が証人喚問で証言 Issei Kato-REUTERS

森友学園問題で「日本極右教育」を攻撃していたはずの中国が、証人喚問以降は籠池氏側に立ち、安倍夫妻への疑惑報道を過熱させている。昭恵夫人にも焦点がシフト。第二のパク(元)韓国大統領を「期待」か。

最初は「日本の極右教育」と批判していた中国

3月20日の本コラム「中国、森友学園問題をトップニュース扱い!」でもご紹介したように、籠池氏が国会で証人喚問を受けるまでは、中国の報道は日本の「極右教育」批判に重きを置いていた。

3月16日の外交部定例記者会見で、森友学園に関する質問に対して、華春瑩報道官もまた、おおむね以下のように回答している。

――このたびの事件では、日本にはいつまでも歴史を正視して反省するのをいやがる勢力がいて、侵略戦争を起こした罪を認めず軍国主義への道を再び歩もうとしている。こういった勢力は教育機関を通して青少年に軍国主義思想を植え付けようとしている。(中略)日本の執政者は歴史から教訓を学び、こういった右翼勢力を野放しにすべきではない。(ここまで引用)

つまり、森友学園問題はあくまでも「日本の軍国主義への逆戻り」の何よりの証拠だという論調が主軸だったのである。そこでは、安倍首相と籠池氏を「一体」として「右傾化教育」を批判していた。

中国、籠池氏側に立ち、安倍辞任に期待か?

ところが、3月23日に籠池氏が証人喚問を受けてからは、まるで籠池氏が「正義」で、この事件により安倍政権が崩壊するのではないかといった論調に一斉に切り替わっていった。

それまで「安倍総理万歳!」「昭恵夫人頑張れ!」などと園児に叫ばせていた籠池氏が、安倍首相に国会で「しつこい」と言われて失望し、3月16日に100万円寄付に言及したあと、籠池氏の自宅に入って事情を聴いたのが野党議員だったことも関係しているかもしれない。

しかしもっと鮮明なのは、国会における証人喚問で「極右教育」の籠池氏を徹底攻撃したのが安倍政権の与党側だったということだ。これが中国における「ねじれ報道」の分岐点となっている。

本来なら「極右教育」をしているとして森友学園攻撃をするはずの野党側が、どちらかというと籠池氏に好意的なトーンで質問しているということも大いに影響しているだろう。野党にしてみれば、客観的事実を引き出したいという大義名分はあろうが、やはり安倍政権攻撃の証拠をつかみたいという意図が滲み出ている。

こういった日本の国会における「右翼教育」に対する逆転現象を反映して、中国の報道から「軍国主義教育に逆戻りしている!」といった攻撃トーンはすっかり姿をひそめ、「極右教育」の総本山だった籠池氏側に立つという、実に奇妙な「ねじれ現象」が起きているのである。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ミネソタ州に兵士1500人派遣も、国防総省が準備命

ワールド

EUとメルコスルがFTAに署名、25年間にわたる交

ワールド

トランプ氏、各国に10億ドル拠出要求 新国際機関構

ワールド

米政権、ベネズエラ内相と接触 マドゥロ氏拘束前から
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向」語る中、途方に暮れる個人旅行者たち
  • 2
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 3
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 4
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 5
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で…
  • 6
    DNAが「全て」ではなかった...親の「後天的な特徴」…
  • 7
    シャーロット英王女、「カリスマ的な貫禄」を見せつ…
  • 8
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 9
    鉛筆やフォークを持てない、1人でトイレにも行けない…
  • 10
    AIがついに人類に「牙をむいた」...中国系組織の「サ…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 4
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 5
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 6
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 7
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 8
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 9
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 10
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中