最新記事

音楽

プリンスの自宅兼スタジオ「ペイズリーパーク」がついに公開

2017年1月17日(火)11時00分
ライアン・ボート

 VIPチケット(100ドル)では、1時間40分にわたるガイド付きツアーを楽しめる。一般チケットでは見られない品々にお目にかかれるほか、写真撮影もしてもらえる(それ以外は館内での撮影は一切禁止)。

 運よく木曜日のVIPツアーに参加できれば、多くの名曲が録音されたスタジオBで、プリンスの曲の一部に自分のボーカルをかぶせてレコーディングしてもらうという、ファンには夢のような体験ができる。写真や自分の録音は、紫色のUSBに保存して持ち帰れる。

 プリンスの没後1年となる4月には、「セレブレーション2017」という4日間の特別イベントを予定。「ミュージシャンや特別ゲスト、それにプリンスと一緒に仕事をし、彼のことを最もよく知る友人たちが一堂に会して」ライブやパネルディスカッションを繰り広げる計画だという。

【参考記事】紫の異端児プリンス、その突然過ぎる旅立ち

ファンの衝撃を癒やす場所

 プリンスのファンにとってのペイズリーパークは、エルビス・プレスリーのファンにとってのグレースランドに似たものになるだろう。グレースランドとは、テネシー州メンフィスにある旧プレスリー宅で、ファンには聖地のような存在だ。

 グレースランドを訪れることは、「本物」のプレスリーファンである証し。それと同じように、ペイズリーパークを訪れることは、熱烈なプリンスファンにとって死ぬまでに必ずやりたいことの1つになるだろう。

 昨年は、伝説のギタリストであるジミ・ヘンドリックスが60年代末に住んでいたロンドンのフラットの一般公開も始まった。壁に飾られたタペストリーから、レコードプレーヤーの隣に積まれたレコードの山まで、ヘンドリックスが68年に住んでいた状態をそっくり再現したという触れ込みだ。

 確かにヘンドリックスは史上最高のギタリストの1人であり、60年代の文化を象徴する存在だ。だが、現役時代は主にイギリスの一部の音楽シーンの枠組みで活躍したにすぎない。

 プレスリーとプリンスは違う。彼らは自分の枠組みを作り、自分の音楽シーンを作り上げた。彼らの熱狂的なファンは、彼らの体現する世界を共に生きた。だから2人の不慮の死は、ファンの人生をひっくり返す大事件として受け止められたのだ。

 その死によって、人生にぽっかり穴があいてしまったファンにとって、心の穴を埋めるには「聖地」を巡礼するしかない。

[2017年1月17日号掲載]

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

アングル:中国で値下げ競争激化、デフレ長期化懸念 

ワールド

米政権、農場やホテルでの不法移民摘発一時停止を指示

ワールド

焦点:イスラエルのイラン攻撃、真の目標は「体制転換

ワールド

イランとイスラエル、再び相互に攻撃 テヘラン空港に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 2
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生きる力」が生んだ「現代医学の奇跡」とは?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    【動画あり】242人を乗せたエア・インディア機が離陸…
  • 5
    メーガン妃がリリベット王女との「2ショット写真」を…
  • 6
    ゴミ、糞便、病原菌、死体、犯罪組織...米政権の「密…
  • 7
    「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波…
  • 8
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未…
  • 9
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 10
    先進国なのに「出生率2.84」の衝撃...イスラエルだけ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラドールに涙
  • 3
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 4
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタ…
  • 5
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 6
    ひとりで浴槽に...雷を怖れたハスキーが選んだ「安全…
  • 7
    猫に育てられたピットブルが「完全に猫化」...ネット…
  • 8
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 9
    プールサイドで食事中の女性の背後...忍び寄る「恐ろ…
  • 10
    救いがたいほど「時代錯誤」なロマンス映画...フロー…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中