最新記事

グルメ

超有名レストラン「ノーマ」初の姉妹店はカジュアルに進化

2016年12月21日(水)11時00分
リサ・エイベンド

 皮肉なことに、彼は最もノーマらしいやり方で自分の道を取り戻した。森を探索しての「狩猟採集」だ。メニュー作りでは子羊の肩肉料理に合う素材を探し歩いた。リンシードと味噌を合わせたたれを200キロ分も使って試行錯誤した末に、もっと身近な発酵プラムを使ったソースを編み出した。

 7月に常設店舗を開店する頃までには、手堅いメニューの数々が完成した。新鮮でモダンながら、くつろげる品々だ。

 価格と手軽さでは、108はノーマよりはるかに上を行く。カフェコーナーでは朝にはコーヒーとペストリーが、夜にはワインが楽しめるし、最近ではランチプレートも始めた。100クローナ(約15ドル)という衝撃の庶民価格だ。何カ月も前から予約が取れないノーマと違い、予約なしの客のための席も空けてある。

magc161221-noma03.jpg

見た目も意外なブルーベリーアイスのデザート Mikkel Herbia for 108

【参考記事】美味しいロンドンはロシアが作る

森の香りも楽しむ魚料理

 108は北欧の技法をたっぷりと取り入れている。狩猟採集、発酵、酢漬け、燻製......これらを駆使して、独創的であると同時に心地よい料理を生み出す。

 アラカルトメニューでは宝石のような小皿料理と、肉や魚のメイン料理が組み合わされている。小皿料理では、サバの塩漬けが圧倒的な人気だ。見た目はとてもシンプル。新鮮に光った三角形の切り身が、マツ科トウヒで作られたエメラルド色のオイルの上に並んでいる。

 サバはパインソルトに短時間漬けてあり、塩漬けグーズベリーのトッピングが加わる。おかげで海の味わいとともに森の香りを楽しめる一品に。甘く、しょっぱく、新鮮で刺激的な味だ。

 3つのメインのうち、子羊肩肉のローストは、よりバランスが取れている。ピリッとしたエルダーベリーのケッパーが、燻製バターでコクを出した柔らかな肉にアクセントを添える。

 味噌パン粉がけのアンコウのグリルは、ニスを塗られたようにつやつやになって運ばれてくる。魚の甘い味わいは広葉樹の燻製で引き立てられている。

 最後は、サワードーのコーンに色鮮やかなブルーベリーアイスがたっぷりのったデザート。本格的な料理は、変化球で締めくくられる。

 ノーマの殻をも破る独創的な料理にカジュアルな雰囲気とあれば、客が途切れないのも無理はない。バウマンの多忙な日々は、当分終わりが見えなそうだ。

[2016年12月20日号掲載]

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

エヌビディアAI半導体、中国向け販売停滞 米国家安

ワールド

メキシコ、官民連携で3000億ドル超のインフラ投資

ワールド

焦点:人民元リスクは上振れ方向、当局が抑制で対応か

ワールド

ブラジル中銀、利下げ開始示唆も引き締め的政策維持を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗り物から「勝手に退出」する客の映像にSNS批判殺到
  • 3
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れるアメリカ」に向き合う「日本の戦略」とは?
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 6
    地球の近くで「第2の地球」が発見されたかも! その…
  • 7
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 8
    最長45日も潜伏か...世界が警戒する「ニパウイルス」…
  • 9
    アジアから消えるアメリカ...中国の威圧に沈黙し、同…
  • 10
    ICE射殺事件で見えたトランプ政権の「ほころび」――ア…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 5
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 6
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 7
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 8
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 9
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 10
    パキスタン戦闘機「JF17」に輸出交渉が相次ぐ? 200…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中