最新記事

<ワールド・ニュース・アトラス/山田敏弘>

遅刻魔プーチンの本当の「思惑」とは

2016年12月16日(金)17時00分
山田敏弘(ジャーナリスト)

 筆者は以前、米ホワイトハウスに詰める政府関係者に、米大統領とロシア首脳との電話会談にまつわるこんな裏話を聞いた。

 通常、大統領や閣僚などと外国の首脳との電話会談などは、ホワイトハウスで行われる。会談がセットされると、大統領らはホワイトハウスでスタンバイし、会談開始の20分前から安全保障担当補佐官らと会談内容を確認して準備を始める。

 その間にスタッフは電話で相手国のスタッフと連絡をつけ、電話ラインの安全性や通訳の確認などを済ませる。そして両サイドの準備が整ったら、会談がスタートする。

「実際にどちらが先に電話を取ったのか、というような子供じみた争いをする首脳がいる。またどちらが電話会談を先にもちかけたのか、ということも気にするんだ」と言う。

【参考記事】ロシアが北方領土に最新鋭ミサイルを配備 領土交渉への影響は

「一度、こんなことがあった。ロシアの(ドミトリー・)メドベージェフ大統領とオバマの首脳会談が行われた時のことだ。オバマが電話口で『ハロー、ドミトリー』と呼びかけても何も反応がない。その前にすべての準備も確認も済ませ、電話には問題がなかったのに。すると、『少々お待ちを』と相手のスタッフの声が聞こえ、それから沈黙が5分ほど続いた。ただこれ、相手はわざとやっている。なぜそう思うかというと、こういうことはこの1回だけではなく、何度もあったからだ。相手をわざと待たせて優位に立とうとする子供じみた小競り合いのようなことが行われているんだよ」

 日本人から見れば相手を待たせることは無礼でしかない場合がほとんどだが、ロシアの首脳にとっては少し違うようだ。相手を待たせることは常套手段で、それによって優位に会談をスタートできると考えている。

 ロシアから何か引き出したいなら、待つ側は我慢するしかないのだ。

【執筆者】
山田敏弘

国際ジャーナリスト。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版などで勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)で国際情勢の研究・取材活動に従事。訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)。現在、「クーリエ・ジャポン」や「ITメディア・ビジネスオンライン」などで国際情勢の連載をもち、月刊誌や週刊誌などでも取材・執筆活動を行っている。フジテレビ「ホウドウキョク」で国際ニュース解説を担当。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米政権、TSA職員9400人超削減を提案 予算15

ワールド

ゼレンスキー氏、エネインフラ巡る停戦案を堅持 ロシ

ビジネス

米国株式市場=上昇、トランプ氏発言と米・イラン協議

ビジネス

NY外為市場=ドル安定的、円相場160円に接近 中
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 3
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙の2大テーマでAI懸念を払拭できるか
  • 4
    地面にくねくねと伸びる「奇妙な筋」の正体は? 飛行…
  • 5
    トランプ、イランに合意期限「米東部時間6日午前10時…
  • 6
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 7
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 8
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 9
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 10
    スパイス企業の新戦略...エスビー食品が挑む「食のア…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 3
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 4
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 5
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 6
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 7
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 8
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経…
  • 9
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 10
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの…
  • 6
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中