最新記事

米大統領選

米大統領選、第1回テレビ討論を世界はどう報じたか

2016年9月28日(水)17時06分
デイミアン・シャルコフ

Kim Hong-Ji-REUTERS

<各国メディアが「クリントン圧勝」と伝えた第1回テレビ討論だが、中露のメディアは歯切れが悪い。他にもイギリス、ドイツ、メキシコなど各国メディアの反応をまとめた> (写真:テレビ討論を伝える韓国ソウルの様子)

 各国のメディアは米大統領選の第1回テレビ討論をどう伝えたか。おおむね「勝者はヒラリー・クリントン」との見方だったが、中露両国のメディアは、ドナルド・トランプが負けたとは伝えたくなかったようだ。

【参考記事】討論初戦はヒラリー圧勝、それでも読めない現状不満層の動向

 中国国営の新華社通信は、勝者が誰かは言わず、両候補が「大混乱の2016年大統領選で初めて相まみえた」と報道。クリントンは「従来型の職業政治家」だとしたトランプの指摘に焦点を当てた。これに対しクリントンが、自分は討論会への準備を怠らなかったし大統領になる準備もできている、と力強く反論して拍手を浴びた点については、新華社通信は触れていない。

 ロシアの政権寄りメディアも同様に、勝者を報じなかった。ロシアのメディアとトランプはこれまでも親密な言動が目立ち、その関係はアメリカでも厳しい目で見られるようになっている。

 ロシアの大衆紙モスコフスキー・コムソモレッツは、「トランプは、ロシアは核兵器分野でアメリカより大きな可能性を持つ」と断言、アメリカは負けているという危機感を示したと報道。国営テレビ局のNTVは、トランプがクリントンの対ISIS(自称「イスラム国」、別名ISIL)戦略を批判したと報じた。

【参考記事】米テレビ討論、クリントン「二重の負担」で不利

 NTVはまた、テレビ討論の視聴者を対象とした世論調査でクリントンが勝利したことに言及したが、クリントンのスタミナ不足を指摘したトランプに同調した。

 ロシアの政権寄り大衆紙コムソモリスカヤ・プラウダも、トランプの味方だ。アメリカのメディアは「あからさまにクリントン支持」と解説。ただし、クリントン勝利の世論調査結果は伝えた。

「落ち着いた」クリントンに軍配

 ヨーロッパでは、メディアはおおむねクリントンが勝者だったと伝えている。トランプの最大の失敗は、クリントンよりも感情的で激しい態度を見せたことだという。フランスの保守系フィガロ紙は、選挙集会での煽動的なスタイルから「脱皮できなかった」と評している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米貿易赤字、3月は0.1%減の694億ドル 輸出入

ワールド

ウクライナ戦争すぐに終結の公算小さい=米国家情報長

ワールド

ロシア、北朝鮮に石油精製品を輸出 制裁違反の規模か

ワールド

OPECプラス、減産延長の可能性 正式協議はまだ=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 8

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 9

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 10

    「みっともない!」 中東を訪問したプーチンとドイツ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中