最新記事

東京五輪

【小池都知事】クリーンな東京五輪を実現するために

2016年9月5日(月)16時30分
小池百合子(東京都知事)

Kim Kyung Hoon-REUTERS

<汚職や負債が付き物のオリンピックの悪しき体質にノーを。都民の利益を優先する、あるべき五輪の形とは>(写真は、先月初登庁した小池都知事)

 リオデジャネイロ五輪が幕を閉じた。すべての競技をゆっくり観戦したかったが、チェックすべきことがほかに山ほどあった。スプレッドシートや契約書、組織図のたぐいだ。

 2020年の夏季オリンピック開催都市、東京の首長になった今、大会運営能力を証明すべき日に向けて、私は急ピッチで準備を進めている。

 なかでも必要なのは、第一級のコスト管理能力を持つ会計士の知恵を身に付けること。東京五輪をアスリートだけでなく、都民と日本国民全体にとっても成功と言える大会にするためだ。

 私たちは誇りを持って東京大会を開催したい。そのためには、未来の世代に負債を残してはならない。五輪のためだけに使われる施設を乱造して、東京の景観を損なってはならない。

【参考記事】オリンピック最大の敗者は開催都市

 確かに、私がこうした任務に就いたのは最近のことだ。競技会場の配置など、大会計画の一部は以前の都知事らの決断の下で既に始動している。

 舛添要一前都知事が政治資金問題で辞任したとあれば、従来の予算計画が「分別」を第一義に考えていたかどうかは疑問だ。私たちは「都民ファースト」と「アスリートファースト」を念頭に、締結済みの契約を分析して見直すつもりでいる。

 過去の多くの五輪と同じく、東京大会の開催費用は既に予算を超過している。計画を主導する立場の人々はこれまでのところ、無駄を防ぐ努力をほとんどしていないように見える。

 学ぶべきことはまだ多いものの、私たちには明確な目標がある。東京の未来をよりよいものにする大会を開催することだ。手始めに、開催都市の経済や社会が受ける長期的影響という視点からオリンピックの歴史を学んでいるが、残念ながらいい影響はあまり見られない。

 多くの場合、開催都市は借金にまみれ、大会後は使用されないスポーツ施設だらけになる。しかも最悪なことに、五輪開催によって汚職が慢性化するケースがあまりに多い。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

12月FOMCでの利下げ見送り観測高まる、モルガン

ワールド

トランプ氏、チェイニー元副大統領の追悼式に招待され

ビジネス

クックFRB理事、資産価格急落リスクを指摘 連鎖悪

ビジネス

米クリーブランド連銀総裁、インフレ高止まりに注視 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見…
  • 6
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 9
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中