最新記事

北朝鮮

決死の亡命を果たした北朝鮮公使、韓国で約束される仕事と警護

2016年8月23日(火)13時20分

8月18日、韓国に亡命した北朝鮮高官の中で最高位となる在英北朝鮮大使館のテ・ヨンホ公使には、24時間の警護体制と、韓国諜報機関傘下のシンクタンクでの快適な生活が与えられそうだ。写真は韓国のテレビニュースで報じられるテ氏。ソウルで18日撮影(2016年 ロイター/Kim Hong-Ji)

 韓国に亡命した北朝鮮高官の中で最高位となる在英北朝鮮大使館のテ・ヨンホ公使には、24時間の警護体制と、韓国諜報機関傘下のシンクタンクでの快適な生活が与えられそうだ。過去に同じような道をたどった高位級の脱北者が明らかにした。

 韓国政府は17日夜、テ氏が家族とともに亡命し、ソウルに到着したと発表した。テ氏の亡命は、最高指導者の金正恩氏率いる、急速に孤立感を深めている北朝鮮指導部にばつの悪い一撃を与えることになる。

 貧しく抑圧的な北朝鮮から、豊かで民主的な韓国に渡った約2万7000人の脱北者の多くは、韓国社会への同化で苦しみ、経済的にも貧しい状況に置かれている。しかし、北朝鮮の支配層と太いパイプを持つテ氏のような脱北者は、秘密主義の隣国を明らかにする価値ある情報源として重宝されている。

 金光鎮(キム・グァンジン)氏は、他の多くの高位級の脱北者同様、韓国の情報機関、国家情報院(NIS)傘下の国家安保戦略研究所(INSS)に勤めている。

「韓国で生活するためには、もちろん、誰でも仕事を必要とする。韓国政府は仕事を与えてくれる。私はINSSで働く機会を与えられた」と金氏は語る。金氏は2003年、保険金詐欺への関与で醜名を流した在シンガポールの北朝鮮系保険会社で働いているときに、家族とともに亡命した。

 チェ・ジュファル氏は北朝鮮の朝鮮人民軍の上佐だった1995年、中国への出張中に香港経由で韓国に亡命。軍人の脱北者としては当時、最高位の人物となった。

 チェ氏は脱北者団体の長になるまでの1997年から2012年まで、INSSの研究員として働いていた。

「(韓国政府は)何の見返りもなしにテ氏に給与は払わない。彼はその研究所で仕事を与えられる可能性が最も高い」。67歳になるチェ氏は、INSSに言及しながら、こう語った。

 韓国情報機関のNISは、テ氏に関してのコメントを拒否した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

関税交渉で来週早々に訪米、きょうは協議してない=赤

ワールド

アングル:アルゼンチン最高裁の地下にナチス資料、よ

ワールド

アングル:ドローン大量投入に活路、ロシアの攻勢に耐

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人口学者...経済への影響は「制裁よりも深刻」
  • 2
    「マシンに甘えた筋肉は使えない」...背中の筋肉細胞の遺伝子に火を点ける「プルアップ」とは何か?
  • 3
    父の急死後、「日本最年少」の上場企業社長に...サンリオ「創業者の孫」が見せた圧倒的な実力とは?
  • 4
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 5
    約558億円で「過去の自分」を取り戻す...テイラー・…
  • 6
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失…
  • 7
    日本では「戦争が終わって80年」...来日して35年目の…
  • 8
    ドクイトグモに噛まれた女性、顔全体に「恐ろしい症…
  • 9
    【クイズ】世界で1番売れている「日本の漫画」はどれ…
  • 10
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウ…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 4
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 5
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 6
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 7
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 6
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 7
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中