最新記事

リオ五輪

競泳金メダリストの強盗被害は器物損壊をごまかす狂言だった

2016年8月19日(金)13時31分
メーガン・アルパート

David Gray-REUTERS

<アメリカの競泳の金メダリスト、ロクテら4人が拳銃強盗に遭遇したという騒動は、実は酔っ払ってガソリンスタンドのトイレを壊した4人による狂言だったらしい> (写真はリオ五輪で200メートル個人メドレーに出場したロクテ)

 アメリカの競泳選手4人がリオデジャネイロの街中で拳銃強盗に遭遇した――治安の悪いリオで遂に心配されていた事件が起こったのか、と誰もが思った。だが事件はその後予想外の展開を見せ、結局は酔っ払ったロクテたちが外国で浮かれて狼藉を働いただけだったようだ。

 リオ五輪の競泳男子800メートルリレーで金メダルを獲得したアメリカ代表のライアン・ロクテ(32)ら競泳選手4人は、今週14日の早朝にタクシーで宿泊施設の選手村に戻る途中、強盗被害に遭った、と話していた。ロクテはメディアの取材に対し、「警察官バッジをつけた男がタクシーを止め、拳銃を頭に突きつけて全員を車から降ろさせた。その後、地面に寝かされて、現金や財布を奪われた」と証言した。

【参考記事】リオ五輪、英国のメダルラッシュが炙りだしたエリートスポーツの光と影

 しかしその後、国際オリンピック委員会(IOC)が強盗事件は「起きていない」と発表し、その後この見解を撤回した。

 ロクテは2013年に放送されたリアリティー番組「ライアン・ロクテはどうする?」にも出演した著名人だ。インスタグラムの投稿に、「日曜の朝に自分とチームメイトが強盗に遭ったのは事実で、僕たちがケガもなく無事だったことは何よりだ」と書き込んでいた。

まさかの展開

 だが事態はそれでは終わらなかった。今週17日に米NBCの電話インタビューに応じたロクテは、実際には銃を突きつけられたのではなく、手ぶりで大体の指示を受けた、と語った。さらに「タクシーをとめられた」のではなく、自分たちがガソリンスタンドに立ち寄ったのだとも明かした。

【参考記事】暗雲漂うリオ五輪を襲った7つの嫌なニュース

 それならば、強盗事件はガソリンスタンドで起きたのか?しかしブラジル警察は、4人は強盗に襲われたのではなく、スタンドの器物を破壊し、小便を撒き散らしたと発表した。

 リオの警察当局によると、4人はスタンドのトイレのドアを叩き壊し、トイレの外に小便を撒き散らしていた。そこで武装した警備員とスタンドのオーナーに見咎められ、壊したドアを弁償するよう求められた(実際に示談金を払ったという報道もある)。

「彼らはスタンドのすぐ前に停車し、そこで小便をした。選手の1人がパンツをずり上げる画像もある」と、スタンドのオーナーは話している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、農場やホテルでの不法移民摘発一時停止 働き手不

ワールド

米連邦最高裁、中立でないとの回答58%=ロイター/

ワールド

イスラエル・イラン攻撃応酬で原油高騰、身構える投資

ワールド

核保有国の軍拡で世界は新たな脅威の時代に、国際平和
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中