最新記事

ブラジル

暗雲漂うリオ五輪を襲った7つの嫌なニュース

2016年7月19日(火)15時40分
ウィル・カレス

Sergio Moraes-REUTERS

<「選手が白昼に襲われる」「競技会場の海岸にスーパーバクテリア」等々、開幕まで1カ月を切っても聞こえてくるのは、なんとも不吉で背筋の凍るような話ばかり>(写真は今も建設工事中のテニス会場)

 リオデジャネイロ五輪の開幕まで1カ月を切ったが、聞こえてくるのは相変わらず悪いニュースばかりだ。

 ブラジル政府の混乱や汚職スキャンダル、経済危機、ジカ熱の蔓延などは、既に誰もが知っている。しかし開催準備が最終段階を迎えた今、もっと異様なニュースが届いている。最近浮上した7つの不吉な事件と、1つだけ良い前兆を紹介しよう。

【1】スーパーバクテリア
 リオの水質汚染は以前から知られているが、状況はさらに悪化している。最近、オリンピックの海上競技が行われる海岸で、抗生剤の効かないスーパーバクテリアが検出された。原因は病院から出た汚水とみられる。

【2】五輪マスコットが射殺
 今回の五輪に関するブラジルの準備不足と不運を、これほど絶妙に表した事件もないだろう。「ジュマ」という名の17歳のメスのジャガーの話だ。

 ジュマは先月、ブラジル北部マナウスで行われた聖火リレーのセレモニーに参加した。ところが直後に飼育員の手を離れて脱走したため、あえなく射殺。ジャガーは絶滅の危機にあり、動物愛護団体はこの事件を問題視している。

 ブラジルの五輪代表チームにとっても後味の悪い事件だった。代表のマスコットは、黄色のジャガー「ジンガ」なのだ。

【参考記事】ルセフ弾劾はブラジルにとって正しい道か

【3】消えかけた聖火
 先月末、聖火リレーがブラジル内陸部の農業の町マラカジュを通過したとき、27歳の男がバケツの水で火を消そうとして取り押さえられた。地元メディアによれば、動機は友人との賭けだった。試みは失敗に終わり、聖火は何とか燃え続けている。

【4】地獄へようこそ
 リオデジャネイロの国際空港では先週、こんな横断幕が人々を出迎えた。「地獄へようこそ。この街では警察官や消防士に給料が支払われていません。リオデジャネイロに来る人に、身の安全は保証されません」

 リオデジャネイロ州政府の収入は、石油・ガス産業からの採掘権料に依存している。だが石油価格の下落と、リオを本拠とする国営石油会社の汚職スキャンダルで、州の財源は激減。給与の未払いが長く続いたため、消防士や医師、教師など約50万人の公務員が最近ストを行った。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米12月失業率4.6%、11月公式データから横ばい

ビジネス

米10月住宅価格指数、前年比1.7%上昇 伸び13

ワールド

プーチン氏、イラン大統領と電話会談 核計画巡り協議

ワールド

中国軍が台湾周辺で実弾射撃訓練、封鎖想定 過去最大
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 5
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 8
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中