最新記事

【2016米大統領選】最新現地リポート

ナイスガイだがスター性なし、副大統領候補ケーンのプラスマイナス

2016年7月23日(土)11時20分
渡辺由佳里(エッセイスト)

 宗教での多様性も進んでいるアメリカだが、それでも国民の大多数はキリスト教徒だ。大統領がキリスト教徒であることを重視する有権者は多く、5)の経歴は、そういった人々に説得力を持つ。また、ホンジュラスという貧しい国で奉仕した彼の人間性は魅力的だ。

 6)が重要なのは、ヒスパニック系の票が大統領選の勝敗を左右する可能性があるからだ。ケーンであれば、このグループにスペイン語で語りかけることができる。

 だが、ケーンの人選にはマイナス面も多い。

【参考記事】トランプはなぜ宗教保守派のペンスを選んだのか

 白人男性で左寄りのプログレッシブではないことや、スター性がないケーンは、ヒラリー支持をためらっているサンダース支持者や無所属の有権者を魅了しない、という点だ。

 また、トランプとサンダースのどちらもが反対するTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の推進派だということも攻撃の対象になるかもしれない。

 同時に「白人男性」には利点もある。残念ながら、アメリカにはまだまだ「白人男性」を優先する国民が多い。女性候補に不安(あるいは反感)を覚えるアメリカ国民にとって、見るからに善良そうで温厚そうな白人男性のケーンは安定感、好感を与える。

 2016年の大統領選挙は、過去の大統領選以上に、政策より有権者の感情が情勢に大きな影響を与えている。いつも不機嫌そうなトランプと、いつも笑顔のケーンという2つの白人男性の対比を(特に白人のアメリカ国民に)見せるのは意外と有効な戦略になるかもしれない。

ニューストピックス:【2016米大統領選】最新現地リポート

筆者・渡辺由佳里氏の連載コラム「ベストセラーからアメリカを読む」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ムーディーズ、イタリアを23年ぶりに格上げ 「Ba

ワールド

中国のインドネシア産原油輸入が急増、イラン産の産地

ビジネス

米当局、武田薬品の血液疾患治療薬を調査 小児患者死

ビジネス

中国首相が独首相と会談、戦略的産業で緊密な協力関係
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナゾ仕様」...「ここじゃできない!」
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 4
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 5
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 6
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 7
    【銘柄】いま注目のフィンテック企業、ソーファイ・…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 10
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中