最新記事

事件

フロリダ銃乱射事件から1週間、生存者が惨劇の一部始終を語った

2016年6月20日(月)19時27分

6月15日、米国の現代史上最悪となったフロリダ州オーランドの銃乱射事件では49人が犠牲となり、実行犯も射殺された。生存者が同性愛者のナイトクラブで起こった恐るべき惨劇の一部始終を語った。写真は12日、事件現場を捜索する警察官(2016年 ロイター/Jim Young)

 ペイシャンス・カーターさんは、もう何時間もトイレの個室の床に横たわっていた。右の太股に銃弾を受けていたが、友人や見知らぬ人が彼女の上にのしかかっており、身動きが取れない。

 米フロリダ州オーランドのナイトクラブ「パルス」で発生した銃乱射から、彼らは皆必死になって逃れ、同じ袋小路に追い込まれていた。20歳のカーターさんには、歩き回るオマル・マティーン容疑者の足が見えた。人質解放の交渉担当者に対して、同容疑者が、米国が行ったアフガニスタン空爆への非難や、イスラム主義武装グループへの忠誠を叫ぶのも聞こえていた。

 そして、警察が外で叫んでいる声が聞こえた。「壁から離れろ。壁から離れろ」。マティーン容疑者の足がトイレの個室に向かって下がってくる。

 「トイレの床に伏せていた誰かに『おい、お前!』と呼び掛け、1人、また1人と撃っていった」とカーターさんは、「バン、バン、バン」という銃声を口まねしつつ、その時の記憶を語った。

 日曜日の夜明け近く、マティーン容疑者が同性愛者に人気のダンススポットに残忍な襲撃を仕掛けてから、すでに3時間が経過していた。

 まもなくして、警察が壁を破壊して突入した。

「警察は容疑者に『武器を捨てろ、武器を捨てろ』と叫んだ。従わなかったので、警察は銃撃を始めた。命中し、彼は射殺された」とカーターさんは言う。

 米国の現代史上最悪となった乱射事件から数日が経過し、49人が犠牲となり、実行犯も射殺されるという、恐るべき惨劇を語る生存者の談話が伝えられはじめている。彼らの話からは、恐怖と絶望の状況、時に手際のよい殺りく、さらには困難で長い時間を要した救出劇の様子が明らかになっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ナワリヌイ氏殺害、プーチン氏は命じず 米当局分析=

ビジネス

アングル:最高値のビットコイン、環境負荷論争も白熱

ビジネス

決算に厳しい目、FOMCは無風か=今週の米株式市場

ビジネス

中国工業部門企業利益、1─3月は4.3%増に鈍化 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    美女モデルの人魚姫風「貝殻ドレス」、お腹の部分に…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 7

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中