最新記事

事件

フロリダ銃乱射事件から1週間、生存者が惨劇の一部始終を語った

2016年6月20日(月)19時27分

 マティーン容疑者が射殺されてしばらくは、壊された壁の破れた水道管から水が噴出し、遺体と負傷者が折り重なるトイレの床に、血の混じった水が溢れた。

 カーターさんは友人たちを呼んだ。フィラデルフィアから3人でやってきた彼女らは、フロリダ休暇の最初の夜に、笑顔でダンスに興じていた。インターネットで楽しめそうなダンススポットを探して選んだ店だった。

 彼女の仲間の1人、やはり20歳のティアラ・パーカーさんが彼女の呼び掛けに応えた。脇腹を撃たれたという。もう1人、いつも場を盛り上げていた18歳のアキラ・マレーさんはパーカーさんの膝に崩れ落ち、何も言わず動かなかった。

 彼女たちと一緒に個室に逃げ込んでいた男性がマレーさんの脈を取り、まだ呼吸していると言った。まもなく、特殊部隊SWATの隊員がカーターさんを個室から引っ張り出し、腕をつかんで安全な場所に連れて行った。血まみれの床を引きずられていくとき、彼女はマレーさんの携帯電話を目にし、拾い上げた。

「まだ息をしている、脈は残っていると聞いたので、いずれ携帯を彼女に返せるだろうと本当に信じていた」とカーターさんは言う。

 救急車のなかで救急隊員は血に染まったカーターさんの衣類を切り裂いた。右脚を傷つけた弾丸は左脚も貫通している、と彼らは言った。

 その後、カーターさんはマレーさんが助からなかったことを知る。何十人もの負傷者とともに病院のベッドに横たわるカーターさんが書いた詩は「生き残ったことの罪悪感は重い」という言葉で結ばれている。

確実に殺そうとしていた

 29歳のマティーン容疑者が入ってきたのは午前2時頃、ラストオーダーが終わり、「パルス」にいた客300人の多くが最後の1杯を飲み干すタイミングだった。ある警官の説明によれば、シグザウアーMCX型軍用ライフルとグロック9ミリ拳銃を装備していたという。

 友人たちと抱き合って別れを告げていた26歳のエンジェル・コロンさんは、「ショットガンのような大きな発射音」を聞いた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米連邦地裁、UCLA凍結助成金の復活命じる判断

ワールド

シリア暫定大統領、米制裁解除訴え NYでルビオ長官

ワールド

トランプ氏、予算巡り民主党指導部と25日協議へ=関

ワールド

旧統一教会の韓総裁を逮捕、尹前政権に金品供与容疑
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 2
    筋肉はマシンでは育たない...器械に頼らぬ者だけがたどり着ける「究極の筋トレ」とは?
  • 3
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分かった驚きの中身
  • 4
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 5
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 6
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 7
    「より良い明日」の実現に向けて、スモークレスな世…
  • 8
    米専門職向け「H-1B」ビザ「手数料1500万円」の新大…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「コメの消費量」が多い国は…
  • 10
    「汚い」「失礼すぎる」飛行機で昼寝から目覚めた女…
  • 1
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 2
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分かった驚きの中身
  • 3
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 4
    筋肉はマシンでは育たない...器械に頼らぬ者だけがた…
  • 5
    【動画あり】トランプがチャールズ英国王の目の前で…
  • 6
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 7
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 8
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 9
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 10
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中