最新記事

インド

インドで輝く中小企業、大手の苦戦尻目に好業績

2016年6月12日(日)12時15分

6月10日、ロハン・シャルマ氏にとって、ビジネスはかつてないほどに好調という。売り上げが急増しており、受注高はこの1年間にほぼ倍になった。写真はインド西部ベンガル州の州都コルカタで列車に荷物を運搬する模様。昨年2月撮影(2016年 ロイター//Rupak De Chowdhuri)

 ロハン・シャルマ氏にとって、ビジネスはかつてないほどに好調という。インド西部のグジャラート州にあるシャルマ氏の自動車部品会社「バギラータ・コーチ・アンド・メタル・ファブリケーターズ」では、売り上げが急増しており、受注高はこの1年間にほぼ倍になった。

 この会社は最近、新規機械設備に12万ドル近くを投資。生産能力を拡大するために今年、最大120万ドルを支出する計画。

 これはインド経済にとって心強いサインだ。インドでは、大企業のバランスシート悪化に加え、不良債権の急増を背景に細っている銀行融資への過度の依存が、民間投資がなかなか増えない要因になっている。

 シャルマ氏は、自分の会社にはこうした制約はない、と胸を張る。同氏の会社は無借金で、生産能力拡大も内部資金でほぼ賄えるという。

 インド準備銀行(中央銀行)の調査結果を見ると、シャルマ氏が特殊なケースではないことが分かる。24万社近い未上場の中小企業を対象に、中銀が実施した年次調査によれば、中小企業は利益の伸びなどが大企業よりはるかに高水準であり、インド経済の原動力になっている。

 インドには4500万社以上の中小企業があるとされ、国内総生産(GDP)の40%近くに相当する。その大半は未上場であり、利益の伸びはここ3年間、上場企業をアウトパフォームしている。

 中銀調査によると、中小企業の売上高は2014/15年、12%増加した。これに対して上場大企業の増収率は1.4%にとどまった。

 また、営業利益については、中小企業では16.6%増となり、上場企業の3倍のペースで増加。中小企業は総貯蓄も増やしている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

金正恩氏が列車で北京へ出発、3日に式典出席 韓国メ

ワールド

欧州委員長搭乗機でGPS使えず、ロシアの電波妨害か

ワールド

ガザ市で一段と戦車進める、イスラエル軍 空爆や砲撃

ワールド

ウクライナ元国会議長殺害、ロシアが関与と警察長官 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 2
    世界でも珍しい「日本の水泳授業」、消滅の危機にあるがなくさないでほしい
  • 3
    映画『K-POPガールズ! デーモン・ハンターズ』が世界的ヒット その背景にあるものは?
  • 4
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 5
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 6
    BAT新型加熱式たばこ「glo Hilo」シリーズ全国展開へ…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    就寝中に体の上を這い回る「危険生物」に気付いた女…
  • 9
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 10
    シャーロット王女とルイ王子の「きょうだい愛」の瞬…
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 3
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 4
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 5
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 6
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 7
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 8
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 9
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 10
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中