アングル:イラン、ドローン増産もミサイル不足か 海峡の混乱長期化を懸念
ホルムズ海峡のフジャイラ港(UAE)。2023年12月撮影。REUTERS
Anna Hirtenstein Andrew Mills Jonathan Saul
[4日 ロイター] - 情報機関筋や軍事アナリストによると、イランの無人機(ドローン)攻撃はホルムズ海峡を通過する航行を数カ月間混乱させる可能性があるだろうが、イランがミサイルの集中砲火をどのくらいの期間持続できるかは判断しにくいという。
米国とイスラエルが2月28日にイランへの攻撃を開始して以降、イランは米国の同盟国の湾岸諸国に数百発のミサイルと1000機以上のドローンを発射した。その大半は防空システムによって迎撃されたが一部の住宅、商業ビル、インフラ、米軍基地に被害が出ている。
<巨大なドローン製造国>
英外務省が資金提供する民間非営利団体(NPO)の研究グループ「情報レジリエンス・センター(CIR)」によると、イランは主要なドローン製造国で、1カ月当たり約1万機の生産能力がある。
ミサイルの在庫規模は不明で、イスラエル軍の2500発から他のアナリストによる約6000発まで推定値に幅がある。イランの武器庫にどれだけ在庫が残っているかが戦争の行方を決定づける重要な要因となり得るだろう。
イランとオマーンの間の狭い要衝であり、世界の原油・液化天然ガス(LNG)輸送のうち5分の1が通過するホルムズ海峡の封鎖はイランの主要目標の一つとなっており、イランが6隻の船舶を攻撃したことで航行はほぼ停止状態にある。
ラピダン・エネルギー・グループのボブ・マクナリー社長は「米国はホルムズ海峡を脅かすイランの弾薬庫、軍事基地、軍事施設に対する攻撃を優先している。しかし、イランは数隻のタンカーを攻撃しさえすればいいだけで、後は懸念がひとりでに広がり、人々は(ホルムズ海峡を)通過しようとしなくなる」と述べた。
<ミサイル供給が弱点>
英秘密情報局(MI6)のある元局長によると、戦略ミサイルの供給がイランの弱点となっているという。
この元局長はバーレーン、クウェート、サウジアラビア、カタール、オマーン、アラブ首長国連邦(UAE)で構成する湾岸協力会議(GCC)の加盟国に言及しつつ「ロシアは補充できる余裕がなく中国も極めて慎重になるだろう。もしも中国がイランに本格的な軍事装備をいくらかでも実際に提供していると明らかになれば、GCC加盟国との関係が極めて悪化することになるからだ」と指摘した。
別の欧米情報筋によると、イランはこれまでにレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラやイエメンの親イラン武装組織フーシ派にミサイルを供給してきたため、国内の在庫が低下しているかもしれないという。
イスラエル軍情報部によると、イランの在庫はまた昨年6月の「12日間戦争」でも減少しているが、その後一部が補充されたという。
さらに重大な制約となっているのはミサイルの発射台の不足だろう。CIRの調査によると、発射台の数は米国とイスラエルの空爆のためにこの1年間で少なくとも半分に減り、この5日間の攻撃でさらに減少したという。
しかし、こうした事情にもかかわらず、イランはドローンを用いて戦闘を継続できる可能性が高い。ワシントン近東政策研究所の上級研究員のファルジン・ナディミ氏によると、イラン製の最新世代ドローン「シャヘド136」は航続距離が700―1000キロに達し、イラン本土や艦船から発射すればペルシャ湾南岸のどこにでも十分に到達できるという。
CIRのあるアナリストは、イラン製ドローンの多くが軍民両用の工場で生産されており、増産のために他の施設を転用できるだろうと述べた。
こうしたドローンは湾岸諸国の防空システムに侵入できており、今回の紛争が始まってから65機のドローンがUAEに侵入しアマゾンのデータセンター、ドバイ国際空港、フェアモント・ホテルを攻撃した。
バーレーンはインフラ、米海軍基地、ホテルやマンションが入る高層ビルがドローンのために物理的被害を受けた。
<機雷が混乱を長期化させる可能性>
ホルムズ海峡の混乱がいつまで続くかが数日以内にはっきりすれば、原油価格は一段と急騰するのではないかとトレーダーは身構えている。
世界的な商品取引会社ビトルのある幹部は「非常に懸念している。原油市場は現在このリスクを過小評価している」と述べた。「有力な説によると、イランはまず旧式のミサイルやドローンを活用して(敵側の)防空網を消耗させている。もしもその通りならば、イランの反撃は実際にまだ始まっていないのだ」
もしもミサイルやドローンの在庫が尽き始めたとしても、イランは機雷を配備できるだろう。海上リスク情報企業ドライアド・グローバルによると、イランは5000個から6000個の機雷の在庫を保有している。
こうした機雷は海底係留型、ロケット推進型、海中漂流型があり、船舶が接触すると爆発する。アナリストは機雷がホルムズ海峡に敷設された兆候は現時点でないと述べた。
海上情報・安全保障業務を専門とするコンロール・リスクスのディレクター、コーマック・マッカリー氏は「もしも機雷が敷設されれば処理に長時間かかる。その時こそ、われわれは数カ月間の物流の停止を目の当たりにするだろう」と話した。





