情報BOX:米国の対イラン攻撃は合法か
写真はテヘランの爆撃現場。3月3日、テヘランで撮影。WANA提供。REUTERS
Tom Hals
[4日 ロイター] - 米軍は先月28日、イスラエル軍とともに、イラン国内の1000カ所以上の目標を攻撃し、最高指導者ハメネイ師を含む多くの高官を殺害した。4日にはスリランカ近海で米軍の魚雷がイランの軍艦を撃沈した。
米国の攻撃に関する法的な検証を以下にまとめた。攻撃は米大統領の権限を逸脱しており、国際法にも準拠していないとの批判がある。
◎トランプ大統領の発言
トランプ米大統領は、攻撃の目的と正当化の理由を二転三転させている。トランプ氏は、イランが先制攻撃を仕掛けてくると感じ、米国内外の軍事基地や同盟国に対する「差し迫った脅威」を排除するための攻撃だったと述べた。しかし詳細は示さず、一部の主張は米情報機関の報告によって裏付けられていない。またトランプ氏は、イランが1カ月以内に核兵器を保有しうると述べたが、これについても証拠は示しておらず、昨年6月に米軍がイランの核プログラムを「全滅させた」とした自身の主張とも矛盾している。
◎軍事力行使に関する大統領の権限
法学専門家によれば、イランへの攻撃はトランプ氏の憲法上の権限の限界を押し広げるものであるという。
米合衆国憲法の下、大統領は軍の最高司令官であり、外交を指揮する立場にあるが、宣戦布告の権限を持つのは連邦議会のみだ。
共和・民主両党の歴代大統領は、国益にかなえば議会の承認なしに軍事攻撃を行ってきたが、戦争とみなされる規模や期間よりも限定的な攻撃にとどまっていた。トランプ氏はこの限界を試している可能性がある。
トランプ氏とヘグセス国防長官は、今回の作戦を「戦争」と表現しており、ヘグセス氏は「歴史上、最も致命的で複雑、かつ精密な航空作戦」と呼んだ。トランプ氏は作戦が「5週間以上」続く可能性があるとし、米側にさらなる死傷者が出るだろうと警告している。
2001年のアフガニスタン戦争や03年のイラク戦争など大規模な軍事作戦は、議会が承認を与えていた。
◎戦争権限決議
1973年の戦争権限法(WPR)は、大統領権限に対する歯止めとしての役割を果たす。
WPRの規定によれば、大統領が軍を武力紛争に投入できるのは、議会が宣戦布告をした場合、特定の権限を与えた場合、または米領土や軍への攻撃に反撃する場合に限られる。
大統領は議会に定期的な報告を行う義務もあり、現政権は2日から報告を開始した。
議会の承認がない軍事行動は、延長されない限り60日以内に終了させなければならない。
現在、超党派の議員が撤退を求める決議案を今週採決にかける予定だが、トランプ氏の拒否権を覆すのに必要な3分の2の賛成を得る可能性は極めて低い。専門家は、国民の反対世論こそが攻撃継続を阻止する主な抑止力になるだろうと指摘している。
◎国際法上の判断は
法学専門家は、多くの国が今回の攻撃を国連憲章の下で「不当」とみなすと指摘している。国連憲章は、加盟国が他国に対して武力行使や武力による威嚇を行うことを禁じている。例外は「国連安全保障理事会による承認を得た場合」または「武力攻撃に対する自衛権の行使」のみだが、今回はどちらも該当しない。
また、「先制自衛」という概念もあるが、これには圧倒的で差し迫った攻撃を受けるという確実な証拠が必要となる。
米国は安保理で拒否権を持っているため、外交的に守られているものの、国際法違反の代償は大きい。すでにイギリスとスペインは、紛争の正当性が欠如しているとして、自国基地の使用を制限している。
◎スリランカ近海での魚雷攻撃は適法か
専門家によると、4日の魚雷攻撃は戦争関連の法律に準拠しているようだ。攻撃は公海で行われ、標的は無力化されていない軍艦だったからだ。しかし、もし米国が「差し迫った脅威を排除するため」にイランを攻撃しているのだとすれば、イランから遠く離れた軍艦を標的にすることは、その脅威と関連がない限り正当化されないとの議論も成り立つ。
◎ハメネイ師の殺害は適法か
専門家の見解は分かれている。
ハメネイ師を死亡させた実際の攻撃はイスラエルが実行し、米国は情報提供や作戦支援を行ったと報じられている。
1981年にレーガン元大統領が署名した大統領令は、米政府職員または代理人による暗殺への関与を禁じている。
しかし、平時であれば「暗殺」に該当する指導者の殺害も、武力紛争中であれば「正当な戦争行為」とみなされる可能性があると専門家は述べている。
ハメネイ師の場合、その適法性は「彼が殺害された時点で米国が戦争状態にあったのか」、そして「彼が軍事指導者とみなされていたか」に一部依存することになる。





