最新記事

英EU離脱,

イギリス&EU、予想される破局のシナリオ、ワースト10

2016年6月27日(月)22時26分

6月26日、 英国民投票で欧州連合(EU)離脱派が勝利したのを受け、英国とEUは今後どのような交渉を行うのだろうか。考え得るシナリオをまとめた。写真は英国旗とビッグ・ベンが表紙に描かれたノート。ロンドンで昨年12月撮影(2016年 ロイター/Luke MacGregor)

 英国民投票で欧州連合(EU)離脱派が勝利したのを受け、英国とEUは今後どのような交渉を行うのだろうか。考え得るシナリオをまとめた。()内は各シナリオに対する寸評。

(1)規則通り

キャメロン英首相はEU首脳らとの間で、EU基本条約(リスボン条約)第50条のみが離脱交渉に入る正式な道筋になることで合意している。

 首相は保守党が10月に選ぶ次期首相にこの手続きを任せたい意向。EU首脳らは英国が直ちに、あるいは可及的速やかに手続きに入ることを望んでいるが、強制する法的権限は持たない。

 最も友好的な離脱シナリオは、キャメロン首相がブリュッセルで開かれるEU首脳会議に出席する28日にも50条を発動する(これはありそうもない)か、首相かその後継者が後日、書簡で発動することだ。

 発動後、交渉期限2年の間に友好的な離脱方法がまとまる。EU予算内の資産と負債を分割し、英国外のEU諸国に住む英国人や英国に住む他のEU市民の地位などで折り合うのが理想だ。

 さらに理想的なのは、離脱と時を同じくして発効する新条約を結ぶことなどにより、英国とEUが新たに緊密な経済関係を築くこと。こうした条約は残りのEU諸国27カ国のうち20カ国が合意すれば発効が可能となる。まったく新しい関係を築くとなれば、恐らく全加盟国の同意が必要だろう。

 また、英国を含む28カ国すべてが合意すれば、2年という交渉期間を延長することもできる。

(話がうますぎる。EUはそんなにやわな相手じゃない)

(2)ごめん、本気じゃなかった

英国は主要政党が内部分裂し、親EUのスコットランドが独立をちらつかせるなど、政治的な大混乱に陥っている。国民投票結果は憲法上の拘束力を持たず、政府と議会は、恐らくは次の選挙の後、国民投票結果を無視する。そうなればEUは元通りになるが、キャメロン首相が2月にEUから勝ち取った特別待遇は破棄されるだろう。

(民主主義の信頼という意味で限界を超えている)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

バイデン大統領は「ゲシュタポ政権」運営、トランプ氏

ワールド

ロシア、ゼレンスキー大統領を指名手配

ワールド

インドネシアGDP、第1四半期は前年比+5.11%

ワールド

パナマ大統領選、右派ムリノ氏勝利 投資・ビジネス促
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 4

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 5

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 6

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 9

    マフィアに狙われたオランダ王女が「スペイン極秘留…

  • 10

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中