最新記事

金融政策

円高・株安が進行、政府は介入を示唆し市場の鎮静化狙う

2016年5月6日(金)09時50分


市場との溝

 一方で、政府部内には今回の円高が、4月28日の日銀金融政策決定会合における追加緩和見送り後に起きていることに言及する関係者もいる。複数の関係者は、日銀の決定が相場に影響を与えた可能性があると見られるなら、為替介入の正当性が保たれるのか微妙だとの見解を示している。

 日銀の黒田東彦総裁は、決定会合後の記者会見で「市場との対話に問題があるとは思っていない」と語った。日銀内でも、その後の相場変動についてのコメントを控える一方、追加緩和見送りの決定は間違っていなかったと指摘する声が多い。

 しかし、政府部内には追加緩和の有無にかかわらず、市場変動が大きくなるケースがあることから「(日銀と市場の対話に)ボタンの掛け違いがあるかもしれない」(政府関係者)との声も出ている。

 5月26─27日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)では「現下の経済情勢が最大のテーマとなる」(安倍晋三首相)見通しだ。

 政府・日銀は、議長国として議論をリードするためにも、市場の混乱を早期に収束させたい考えだが、サミットまでを考えた場合、手元にあるカードは多くなさそうだ。

 ただ、円買いのポジションが膨らむ中、市場における介入警戒感がくすぶり続けているのも事実。今週発表予定の米経済指標などをきっかけに円安方向に相場が反転する可能性もある。

 政府は、介入の可能性を意識させつつ、円高圧力の鎮静化を狙っていると思われるが、そのためにはポジション動向など市場の変化を正確に把握することが不可欠。

 サミットまでに市場との溝をどれだけ埋められるか、政府・日銀の正念場はなお続きそうだ。

 (梅川崇、竹本能文、梶本哲史 編集:田巻一彦)

[東京 2日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ関税の大半違法、米控訴裁が判断 「完全な災

ビジネス

アングル:中国、高齢者市場に活路 「シルバー経済」

ビジネス

米国株式市場=反落、デルやエヌビディアなどAI関連

ワールド

米、パレスチナ当局者へのビザ発給拒否 国連総会出席
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界がうらやむ国」ノルウェーがハマった落とし穴
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 6
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 7
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 10
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 3
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 4
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 5
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 6
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 7
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 8
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 9
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 10
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中